映画「ライラの冒険 黄金の羅針盤」
読書会で、『黄金の羅針盤』の進行役をするもので、大急ぎで『ライラの冒険』シリーズ6冊を読んでいます。ただいま、5冊目3分の2まで来ました。でも、5,6冊目の『琥珀の望遠鏡』が一番長いのよね。
435ページ+428ページ。がんばれ、私!
自分を鼓舞しようと思って、1作目しか作られなかった映画を観ました。
「ライラの冒険 黄金の羅針盤」 ( 原題 The Golden Compass)
2007年アメリカ・イギリス合作
監督/クリス・ワイツ 脚本/クリス・ワイツ、フィリップ・プルマン(原作)
キャスト/
ダコタ・ブルー・リチャーズ(ライラ・ベラクア)
ニコール・キッドマン(コールター夫人)
ダニエル・クレイグ(アスリエル卿)
サム・エリオット(リー・スコーズビー)
エバ・グリーン(セラフィナ・ペカーラ)
上映時間 112分 レイティング PG-13
主演のライラに、ダコタ・ブルー・リチャーズ。
この気の強そうなところがよく合っています。
偉大なカリスマ活動家!? アスリエル卿に、ダニエル・クレイグ
誰をも虜にしてしまう美しい悪女、コールター夫人に、ニコール・キッドマン
立ち姿もアップも、とてもきれいです。
この映画は、小説の『黄金の羅針盤』のエピソードや人物をちょっと入れ替えたりしながらも、名場面は残しつつ、小説の中では最後の大事件があるのですが、そこへ向かう所で終わっています。製作費1.8億ドルをかけた、美しい映像で、アカデミー賞視覚効果賞を受賞しました。
小説は登場人物がとても多いのですが、映画はわりとよくまとめてあって、わかりやすくおもしろかったです。
でも、ついに続編は作られませんでした。
製作費1億8000万ドルに対して、全米の興行収入が7000万ドルと不調だったのですが、「反キリスト的」とされて、キリスト教団体から猛烈なボイコット運動があったそうです。
イギリスでは大ヒットし、世界での売り上げも合わせると3億7000万円になり、十分な売り上げだと思うのですが、結局アメリカのキリスト教団体の圧力に屈した形で、続編の制作は中止になりました。
フィリップ・プルマンもがっかり……。
一方、キリスト教団体の反対があって続編を断念というのは言い訳という説もあり。
カトリック教会はいろんなものを嫌う。ハリー・ポッターも、トワイライトも、歌手のマドンナの衣装についても。続編を作らなかったのは、一作目の出来が悪かったからではないか、というのです。
そう言われたら、うん、もしや、本を読んでるから映画はわかりやすいのであって、映画だけ観たのでは、なんだかわかりにくいのかも。
うん、そうかも。
なにしろ、5冊目の半ば過ぎを読んでいる今でも、
「ダストって一体何なんだよ~!」
「アスリエル卿はいったい何がしたいんだよ~!」
「何が善で何が悪かよくわからないのに、主人公の二人はどうなるんだよ~!」
と、思わずにいられないからです。
以前読んだときは「この両親、許せない!」という気分でいっぱいだったという印象があり、読み返していると、場面は覚えているけど、上に書いたようなことがよく思い出せない、というかわかっていなかったのかも。
物語の最後まで読んで、ちゃんと理解できるのかちょっと不安になっているのでした。
(おまけ)
「スポットライト 世紀のスクープ」で、アカデミー賞助演女優賞にノミネートしたレイチェル・マクアダムスが、映画のために来日して朝日新聞社に答えたインタビューです。
当初はシナリオに感銘を受ける一方で、「いまの観客が、ここまで硬派な作品を求めているのだろうか? 敬虔なカトリック信者の反応も気がかりだった」と不安な気持ちをふり返る。
驚いたのは、カトリック教徒のコミュニティが作品を支持してくれたこと。信仰心はそのままに、罪は罪だと認識してくれたの。
カトリック教会の闇を暴いた新聞社の映画ですが、こちらは支持されたんですね。