最高に笑えるフランス映画「最高の花婿」
シャーロット・ランプリングの「さざなみ」と二本立てのペアを組んだのは、こちらの映画。どうしても共通点がわからないんです。
「最高の花婿」
オフィシャルサイト:映画『最高の花婿』オフィシャルサイト
IMDb:Qu'est-ce qu'on a fait au Bon Dieu? (2014) - IMDb
笑いが止まらない、本当に楽しい映画でした!
パリ郊外のロワール地方に住む、クロードとマリー・ヴェルヌイユ夫妻には、4人の美しい娘がいる。
彼女たちが次々に市庁舎で結婚式を挙げる。
長女イザベル。職業なんだっけな?
イザベルの夫は、アラブ人の弁護士。髭がないからあんまりアラブ人ぽく見えないですね。
次女オディルは、歯医者さん。
オディルの夫は、ユダヤ人。売れてない起業家。
3女セゴレーヌは、不気味な不思議な絵を描く画家。
セゴレーヌの夫は中国人。羽振りのいい銀行家で、料理も上手。
アラブ人、ユダヤ人、中国人と続いて、一家のカトリック教会では結婚式を挙げることが出来なかったのだ。
そして、両親と娘、婿たちが集まるとすぐに口論になってしまう。アラブ人とユダヤ人は、ちょっとしたことですぐ怒り出す。中国人がにこやかにとりなそうとすると、アラブ人とユダヤ人が組んで中国人を非難する。
一家の宝物だった4人の娘たちと仲良く付き合っていくのが老後の楽しみだったのに、保守派な(それを、ド・ゴール主義というらしい)夫婦には、むずかしいことばかり。
それでも、両親は感謝祭に娘たちを招待する。ロワール地方の豪華なおうちの様子がとても素敵です。
招いた婿たちのために、母はハラル(イスラム法で許された食べ物)と、コーシャ(ユダヤ教の認定を受けた食べ物) と、北京ダック味(と言ったと思うけどうろ覚え)の七面鳥を3つ用意する。アラブ人もユダヤ人も、食べ物にそれほどこだわっていないので、かえって面食らっている様子。
パリで働いている四女ロールの帰省に合わせて、知人の息子を娘に紹介しようとする両親。なんだか不細工なフランス人とわざとらしく同席させられた四女は、両親に、もう結婚するつもりの彼がいると告白します。
教会で結婚式を挙げることが夢な母は、カトリックの人?と真っ先に聞きます。カトリックよ!と答えるロール。でも、彼女は言えなかったんです。彼がコートジボワール人の黒人であることを……。
以下、ネタバレの内容も含みます。
四女ロール。テレビ局の法務部勤務。
ロールの結婚相手シャルル。コートジボワール出身。ミュージシャンだったかな?
ロールの相手が黒人であることを見て、固まってしまう両親。姉たちと姉の婿たちは、これ以上外国人はいらないとばかりに妨害しようと計画。
また夢破れて自暴自棄になった両親には、離婚話が持ち上がる始末。
しかも、コートジボワールでは、シャルルの父親も白人のフランス人との結婚に反対していた。
このシャルルの実家もとても立派な家。スカイプみたいなパソコンテレビ電話で、対面するお互いの両親。
そして、ロワールの家でロールとシャルルの両家が集まって対面するのですが、シャルルのお父さんは、普段着ないような民族衣装の正装でやってきます。
こんなドタバタを乗り越えて、ロールは愛する彼氏と結婚できるのか?
いや、もうおもしろくて、ずっと笑い転げていました。機会があったら是非ご覧ください。
私がおもしろかったネタバレエピソードです。
ユダヤ人の婿は、起業家だが失敗続き。ユダヤ人がみんな商売上手だと思うなよ!みたいなこと言ってましたね。彼はオーガニックのコーシャを売る計画を立てて、銀行に融資の相談に行きます。すると、在仏のユダヤ人は元々の数が少ないので、利益が出ないと一蹴されます。
中国人婿のところへ同じ話を持っていくと、中国人婿は、この計画は素晴らしい!でもやはりユダヤ人マーケットは規模が小さすぎる。それに比べてフランスに住むイスラム教徒の方が断然数が多い。オーガニックのハラルを売ろう!と提案します。
ユダヤ人の俺が、ハラル(イスラム教徒用の食べ物)を……? よし、やろう!と言っていると、アラブ人婿が、ユダヤ人がイスラムの商売をするなら、アラブ人の弁護士を雇え、それは俺だ。やっと国選弁護人脱出だー!と3人で大盛り上がりに。
みんなで日曜日の教会に行くと、移民の婿たちだ、とみんなが指をさして噂します。そんな衆目の中、カトリックの讃美歌を堂々と歌う3人。この場面もよかったです。
自分は人種差別主義者ではない、と思っている誰もが、実際には偏見や保守的な気持ちを抱えている。実際に近く接していると、違いにイライラすることもある。それでもそこを乗り越えてお互いのちがいを尊重して生きていければ……と思います。
フランスは移民が多くて、国際結婚がとても多い国。
がんばってほしいです。