「ビュールレ・コレクション」と、映画「エタニティ 永遠の花たちへ」
国立新美術館で、「ビュールレ・コレクション」を観てきました。
ビュールレ・コレクションとは
ドイツに生まれ、スイスで後半生をすごしたエミール・ゲオルク・ビュールレは、第一次・第二次世界大戦を経験し、実業家として成功して富を築きました。
と、上のHPに紹介される、エミール・ゲオルク・ビュールレ氏が個人で収集した絵画のコレクションなのです。そのコレクションは、彼の死後一族が別邸を美術館として公開していたものの、2015年に閉館し、2020年にチューリヒ美術館に管理が移る予定で、チューリヒ美術館の新館完成までの間、世界を回って公開されているそうです。
ビュールレ氏は、武器製造で財を成しナチスとの関与がうわさされたり色々ある人ですが、コレクターとして眼力があったことは間違いない!と思える、素晴らしい展覧会でした。スイスの松方幸次郎さんですね。印象派の絵画が多いのですが、人気の画家たちの作品……モネ、ゴッホ、セザンヌ、ルノワールや、一点だけのロートレックも、素晴らしい作品を次々に観られてとてもうれしかったです。
それで、映画「エタニティ 永遠の花たちへ」を観た時、既視感に襲われました。
まさに、モネやルノワールの絵を観ているような映像の美しさです。
「エタニティ 永遠の花たちへ」
トラン・アン・ユン監督最新作『エタニティ 永遠の花たちへ』予告編
オフィシャルサイト:
エタニティ -永遠の花たちへ- | 公式サイト BD&DVD 2018.3.2発売!
映画.com:エタニティ 永遠の花たちへ : 作品情報 - 映画.com
トラン・アン・ユン監督はベトナム生まれ、フランス育ちの監督。「ノルウェイの森」を撮った監督だけど、それを観てないから、この監督の作品を観るのはたぶん初めて!
物語は、19世紀末フランスの美しい邸宅を舞台に、結婚、出産、死別という家族の歴史を描いたもの。
ストーリーらしいストーリーはないのですが、下の家系図を観ただけでネタバレになってしまいます!!!
裕福なブルジョアの家庭らしく、思い切り子だくさんでも、夫が早死にしてもとても優雅なんです。
「アメリ」のオドレイ・トトゥが最初のヒロイン、ヴァランティーヌです。一度は断ったのに望まれて結婚した夫を生涯愛して、8人の子供を産みます。一人が家系図にいないのは生れてすぐに亡くなったから。その夫を亡くして思い出すのがこのシーン。まさに印象派の誰かが描いていそうな、美しい様子です。
ヴァランティーヌは最初に男の子の双子を得て、夫と共にとても幸せそう。
それから次々に子どもたちが生まれ、とても幸せそうな2人。男の子が4人になり、その後待望のおんなのこが生まれます。マルゴと名付けた長女に絆を感じるヴァランティーヌ。続けてエリザベットが生まれ、2人の少女の存在に家のなかが一段と輝きを増します。
美しい庭を子どもたちが駆け回り、夫はやさしく、(家事その他のごたごたは使用人がしているらしく全然出てきません)幸せそのものの人生を、ヴァランティーヌは謳歌します。
少女たちの次の男の子が、生まれて間もなく亡くなってしまいます。ここから不幸が始まり、次の男の子が生まれた一年後に夫が亡くなってしまいます。
夫を看取り、子どもたちを次々と失い、人生とは人の命を見送ることなのだ、とヴァランティーヌは考えるのでした。彼女は8人の子供のうち少なくとも5人に先立たれてしまいます。
次のヒロインは、ヴァランティーヌの息子アンリと結婚したマチルド(メラニー・ロラン)。幼なじみのアンリを誘惑する「自転車」のシーンが美しい~。
マチルドはとても官能的な人らしく、結婚して愛の営みを持つことを堪能するし、子供たちも撫でまわしています。笑
9人の子供を産んで女の子は一人。女の子はかわいいね。ひどい流産をした後、もう子供は産まない方がいいのに……と思われている中、もう一人の女の子を産んで、亡くなってしまいます。
メラニー・ロランはアメリカ映画にもよく出ているので見かける人ですが、若々しくてかわいかったです。
マチルドの親友で従妹のガブリエル(ベレニス・ベジョ)もほぼ同時に結婚します。こちらは、親にセットアップされたお見合い結婚。
初夜がなかなか迎えられない二人……。
でも誠実な夫と共に家族を築いていきます。
マチルドほど多産ではありませんが、4人の子供に恵まれます。
一昔前は、こんな風に子供をたくさん産んで、医学が今ほど発達していないから、幼い子どもを亡くしてしまうことが よくあったのでしょう。マチルドにもその試練が訪れます。
そして更なる試練が。子供たちを海水浴させているときに、夫が泳いで沖に出たまま帰らぬ人になってしまったのです。
妻に先立たれたアンリと夫を失ったガブリエル。二人合わせると子供が14人??
ベレニス・ベジョはアカデミー賞作品賞の「アーティスト」で、助演女優賞にノミネートされました。フランス映画なのに無声映画なので、作品賞にノミネートできたっていう、変わった映画が受賞した年でしたね!
原作は、アリス・フェルネの小説 。タイトルは「未亡人たちの優雅さ」というような内容らしいです。英語訳もないみたい……( ;∀;)
ギンレイホールで見ました。2本立てのもう一つは 「婚約者の友人」
共にフランス映画という以外には、特に共通項が思いつきません。