「リメンバー・ミー」ビバ!ラテンアメリカ!
アカデミー賞、長編アニメ映画賞のプレゼンター、オスカー・アイザックが、「リメンバー・ミー」の受賞を発表して、「ビバ!ラテンアメリカ!COCO!」と叫びました!
オスカー・アイザックも中米のグアテマラ出身。うれしかったんでしょうね!
原題の「COCO(ココ)」は、人の名前です。誰でしょう?
オフィシャルサイト:リメンバー・ミー|映画|ディズニー公式
映画.com:リメンバー・ミー : 作品情報 - 映画.com
ゴールデン・グローブ賞を受賞した時は、この作品についてはあまり知らず、ゴッホのアニメ映画に感銘を受けていたのでちょっとがっかりしていたのですが、その後、この作品の評価がとても高いらしい!ときいて、楽しみにしていました。
字幕版で観ました!英語です。
一口に言って、心温まる、泣ける映画でした!そしてメキシコの死者の日のお祭りが、正しく再現されているそうで、華やかで明るいメキシコ文化を堪能することもできました。そんな意味で、もうアニメはいいやと思っている人にもお勧めです!
主人公12才のミゲルの家は靴作りを生業として絆の強い一族。だが厳しく音楽禁止の家なのです。ミゲルのひいひいおじいさんが音楽家になって家族を捨てたのが原因でした。「音楽禁止なんてメキシコでうちだけだよ」みたいなことをミゲルがつぶやきますが、mexicoは英語でもメキシコーですが、ミゲルはメヒコーと言ってましたね。
吹き替え版でもスペイン語のままで出てくる言葉が多いと聞きました。まさに、メキシコ文化をそのまま伝えたい!という作品の意図が伝わってきます!
音楽禁止の家に生まれたのに、ミゲルの夢はミュージシャンになること。憧れの歌手は今は亡きエルネスト・デラクルス。
死者の日のおまつりが近づき、祭壇に亡くなった家族の写真が飾られるが、ひいひいおじいさんだけはこのとおり。
ところが、この写真の折られている右端に、エルネスト・デラクルスのものとして飾られているのと同じギターを持つ、ひいひいおじいさんの手が。エルネスト・デラクルスは僕のひいひいおじいさんかもしれない、と思うミゲル。
お祭りの音楽のコンテストに出るために、エルネスト・デラクルスのギターを借りようとしたミゲルは、どうしたわけか死者の国に入ってしまう。
ところで、「死者の日」のおまつりは、先祖が帰ってくる、日本のお盆とよく似たお祭りのようですね。でも、メキシコバージョンは、お墓を飾り付けてライトアップ、マリーゴールドの鮮やかなオレンジの花であふれ、骸骨模様のものがいっぱい、骸骨の仮装などもするようです。
写真でいっぱいの素敵なページを見つけました。行ってみたいなぁ。
死者の日の、死者の国もお祭りの真っ最中。現世で写真を飾ってお迎えしてもらえる死者は、次々にマリーゴールドの橋を渡って現世へむかいます。
祭壇に飾られておなじみのご先祖様たちに、死者の国で再会したミゲル。血縁者の許しがあれば現世に戻れるのですが、音楽家になりたいということを話すと許しがもらえません。
ひいひいおじいちゃんの許しをもらえばいいんだ!と思いつくミゲルは、ご先祖様たちから逃げて、エルネスト・デラクルスを探します。
助けてくれたのが骸骨のヘクター。彼は写真を飾ってくれる家族がいないので現世に戻れないのです。助ける代わりに、現世に戻ったら自分の写真を飾ってほしいと頼まれます。
生きてる人間だー!っていちいち驚かれないように、骸骨メイクもしてもらいます。
エルネスト・デラクルスが登場するステージを目指していくと、出会うのがフリーダ・カーロ。
フリーダ・カーロは20世紀のメキシコを代表する女流画家で、ユニブロウ(一本眉)が特徴の美貌の自画像を多く残しました。きれいな写真も多いのだ。
ミゲルは無事にひいひいおじいさんと再会して、許しをもらえるのでしょうか?
ヘクターは、写真を飾ってもらえるのでしょうか?飾ってもらえないと死者の国からも消えてしまうのです。この辺もちょっと日本と似た感じ?
COCOは誰だろう?と思ったら、この写真の少女、ミゲルのひいおばあちゃんでした。
ひいおばあちゃんは、この頃ちょっとぼんやりしちゃってる感じ。
ミゲルは「オラ、ママ・ココ」と呼びかけています。スペイン語「ママ」の範囲広ーい。
さて、この映画、アカデミー賞2部門受賞です。おめでとう!
歌曲賞は、ロバートとクリステン=アンダーセン・ロペス夫妻。アナと雪の女王でも歌曲賞を受賞しています。このロバートさん、実はEGOTの達成者です。
EGOTとは、エミー賞、グラミー賞、オスカー(アカデミー賞)、トニー賞の4つの賞をすべて受賞した人のこと。すごいですね!
アカデミー賞授賞式では歌曲賞にノミネートされた曲はみなパフォーマンスがあるのですが、「リメンバー・ミー」は、ヘクター役のガエル・ガルシア・ベルナルがギターの伴奏でしっとりと歌い始め、次に歌手のミゲル、ナタリア・ラフォルカデが華やかなステージを披露しました。
Miguel and Gael Garcia Bernal sings 'Remember Me' From 'Coco' Oscars 2018 Performance
長編アニメ映画賞の、受賞者スピーチでは、最初にダーラ・K・アンダーソン(金髪女性)が挨拶して「私の妻に」と謝意を述べ、次に共同監督のエイドリアン・モリーナ(左のひげくん)が「ぼくの夫に」と謝意を述べました。やっぱりこの業界すごいですね。才能ある人にゲイの人が多いのか、ゲイの人は才能がある場合が多いのか。
次にリー・アンクリッチ監督(右)が挨拶して、「メキシコの美しい文化に感謝します」と言うと拍手が鳴りやまず、スピーチが中断されるほど。「すべての子供が自分と同じ外見や文化を持つ登場人物と出会うべきです。少数派も大切な存在。彼らの声を届けましょう」と、Wowowの字幕に出ていましたが、「レプリゼンテーション、マターズ!」(representationが重要です!)とはっきりおっしゃってましたね。
そして、その後、ミゲル役のアンソニー君が、スペイン語で「メキシコ万歳!」と言っていました。
representationということが、最近とても需要視されているらしく、日本語では一言には訳せないようなのです。英語のrepresentは~を代表するというような意味ですが、最近使われているのは、whitewash(ホワイトウォッシュ)の反対語みたいな感じで、ホワイトウォッシュというのは、有色人種の役を白人が演じることで、それに対する批判なのだそうです。
(あんまりよく知らないもので大雑把な解説ですが……。)
共同監督のエイドリアン・モリーナ(32才)はメキシコ移民2世。映画のメキシコ精神を支えてきたと思います。