rocorinne bookworm

この映画観たよ。

5月に読んだ本のまとめ

5月はほんとに本を読んでません。ブログの更新もしてないし、何をしてるかと言えば、「ゲーム・オブ・スローンズ」新シーズンに備えて、復習中!な感じです。

それはさておき、5月に一番お気に入りとなった本はこれです!

 

ブルーイッシュ

ブルーイッシュ

 

 ドリーニーはマンハッタンにあるマグネットスクールに通う5年生。3年生の妹と転校してきたばかりで、友達はヒスパニックのふりをするのが好きなテュリだけだ。同じクラスの車いすで通う少女、あまり顔色が青いので「ブルーイッシュ」と呼ばれるその子に興味があって友達になりたい。ブルーイッシュは白血病で化学療法を受けているため、いつも毛糸の帽子をかぶっている。大都会の小学校に通う少女たちの日常を描き、最初から最後まで楽しく、いつまでも読んでいたいような本でした。

マグネットスクールは、魅力的なカリキュラムを組み、学区に関係なく生徒が通えるような仕組みの学校で、いろんな種類があるようですが、ニューヨークのような都会では、富裕層が郊外に引っ越してしまい、都心はマイノリティや貧しい子供が多くなってしまうので、人種の均等化を図る目的でいい教育を受けられる学校を作っているようですね。

テュリは祖母と暮らす貧しい家庭の、容姿のかわいい子です。ヒスパニックのふりをするのが好きなのですが、ヒスパニックにはセクシーなイメージがあるからでしょうね。本当のヒスパニックからは嫌がられています。

娘がブルーイッシュと呼ばれるのを嫌う母はユダヤ人。夫が黒人なため、blackとjewishを合わせたblewishという差別用語だと思ったのだ。こんな言葉初めて知りました。自分たちの肌の色をあまいチョコレート色、はちみつ色と呼ぶ少女たちは、肌の色の濃淡を意識している一方、多文化を受け入れることの大切さを学校や親たちから学んでいる。二つの家族が集まってクリスマスとハヌカクワンザを一緒にお祝いするところで、私も幸福感を分けてもらいました。

ヴァージニア・ハミルトンは、『偉大なるM.C.』から2冊目。オハイオ州の山の中の崩れそうな家に住む少年を重厚に描いた作品だったので、その落差にびっくりです。ヴァージニア・ハミルトン(米)。国際アンデルセン賞受賞作家の本を読んでいます。

(読み友さんに、この作者の黒人の女の子の本を読んだ気がすると言われ……)

この物語の主人公も黒人の女の子ですが、ハミルトンが黒人とアメリカ先住民の両親、という生まれなので、黒人の女の子が主人公という話は多いかもしれませんね。ハミルトンの夫がユダヤ人なので、blewishと呼ばれた経験も彼女自身のものでした。
読了日:05月26日 著者:ヴァージニア ハミルトン

 

5月の読書メーター
読んだ本の数:6
読んだページ数:1196
ナイス数:639

 

 

 

わたしは英国王に給仕した (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 第3集)

わたしは英国王に給仕した (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 第3集)

 

 第2次大戦へ進む時代のチェコで給仕見習いとして働き始める少年。その数奇な運命の回想話。ほら話として聞いていいのかと思うような荒唐無稽さ、ナチスドイツの侵攻、占領、解放と政治背景を描きながらも心情的にはそれらと無縁な主人公。共感も嫌悪もできずに、ちょっと読み通すのに苦労しました。第二次大戦下のチェコといえば、HHhHが思い浮かぶくらいの私の無知のせいですが……。【ガーディアン4月イベント】で読みました。4月中に読み切れず、またこっそりここで申告しておきます。88冊目/1000冊
読了日:05月06日 著者:ボフミル・フラバル

 

 

八月の暑さのなかで――ホラー短編集 (岩波少年文庫)

八月の暑さのなかで――ホラー短編集 (岩波少年文庫)

 

 最初の短編がエドガー・アラン・ポーで、なんと中学生女子の話し言葉の一人称だ!金原瑞人さんがかなり自由に翻訳している様子がよくわかる。サキは The Open Window 、ダールは The Wish 。両方とも最近別の翻訳で読んだので、金原訳は子供向けということで、切れ味がちょっとまろやかになっているような印象だ。13編の短編のそれぞれの作家の紹介があり、代表作などが書かれていて、これを機会に他の本も読んでみよう!という金原さんの心意気が伝わってくる。
読了日:05月07日 

 

 

倚りかからず

倚りかからず

 

友人が「倚りかからず」の詩を朗読してくれました。とてもよかったです。本当は「笑う能力」を読みたかったんだけど、「山よ 新緑どよもして」の「どよもす」の読み方が、アクセント辞典で調べてもわからなかったのでよしたの。とその友人が言うのでした。あとがきもいいので読んでみて。と言われました。友人がこの詩を読んでくれて、この本のことを語ってくれてその全てが、とても素敵な時間だったのです。『倚りかからず』とそのあとがきも堪能しました。
読了日:05月13日 著者:茨木 のり子

 

 

翻訳できない世界のことば

翻訳できない世界のことば

 

 とてもかわいい本で、現在イギリス在住という若い著者に興味がわきます。日本語で採用された「木漏れ日」はいい言葉を選んでくれたわね!と思い、「ボケっと」は「なにも考えないでいることに名前をつけるほど、それを大切にしている」と書かれると、ちゃんとした言葉じゃないけどと思い、「侘び寂び」の解釈は作者の主観だなと思い、「積ん読」については読書家の間の隠語に近く、どこからこれらの単語を採取してきたのかしら?と思うと、他の国のことばに関してもどれほど普通に使われている言葉なのかちょっと疑問に感じてしまいます。
読了日:05月13日 著者:エラ・フランシス・サンダース

 

 

ヘビトンボの季節に自殺した五人姉妹 (ハヤカワepi文庫)

ヘビトンボの季節に自殺した五人姉妹 (ハヤカワepi文庫)

 

読書会の課題本。最後の娘が自殺したのは……と始まって、最初に自殺した娘の話へ戻り、緊張しながら読み始めるも、話は憧れの美人5姉妹を地味に観察する「ぼくら」の瑞々しい語りがグダグダ続く。作者を確認するとやはり男性で、これは男の子の物語だな……と思う。家の窓や壁に降り積もるヘビトンボは独特だとは思うものの、変な邦題だ。一方これを原作としたフランシス・コッポラの映画「ヴァージン・スーサイズ」は、原作に忠実な脚本だが、姉妹が生き生きと登場し、とてもガーリーな作品になっている。

【ガーディアンの1000冊】89冊目。この作品がG1000に入っていてかなりびっくりした。
読了日:05月18日 著者:ジェフリー ユージェニデス

 


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