新入学、新学年。いい先生に出会えるといいですね。
私は夫の転勤で一時、アメリカ、テキサス州オースティンに住んでいました。ほんの1年8か月です。娘が小学校1年生の10月に出国し、3年生の6月に戻りました。
娘は現地校の2年生を終了していましたが、掛け算はまだ習っておらず、日本語の読み書きは1年生の時よりひどくなっていました。オースティンは当時、日本語補習校さえなかったのです。
日本の小学生は、2年生終了までに漢字を160字おぼえ、掛け算もマスターしています。3年生はもう割り算に入っていました。
新しい先生にご挨拶に行くと、きれいなまだ二十代(たぶん)くらいの先生でした。
根っからの親バカ&帰国ボケの私は、「娘はとても頭のいい子なんです」と先生に宣言しておいて、でも、掛け算は習っていないこと、漢字はおろか、片仮名もだいぶ忘れていて書けなくなっていることをお話ししました。
先生は、笑顔で話をよく聞いてくださいました。
この先生は、今から考えてもとても素晴らしい先生で、よく教材を自作して子供たちに取り組ませていました。
娘の初日に、行われた漢字のテストも、先生のオリジナルでした。
まず、前日に、10の短文を出して練習してくるよう宿題を出します。
・うんどう会で、速く走る。
というような文です。この中に、2年生までに習った漢字が2個、3年生で新しく習う漢字が1個入っています。
テストでは、先生が文を読み上げ、子供たちが漢字を交えて書きます。すべての漢字が合っていれば、その文は合格で1点。10点満点です。
先生は娘に、「平仮名でいいから書いてね」と言ってくれました。
そしてその日に娘がもらった点数は、9点です。
(つまり、書けない平仮名もあったのです……orz)
でも、平仮名だけの答案に、うそっこの9点をくれたのは、とてもありがたいことでした。0点!と点をつけられては、ちょっと寂しすぎますよね。
先生オリジナルの漢字テストは、テストと練習ノートがファイルになっていて、毎日の記録が見られるようになっていました。点数に応じたシールなんかもあったと思います。
負けず嫌いの娘は、翌日の分の10の短文をもらうと、ノートに4回書いて練習していきました。
次の日の点数は、4点でした。
トメ、ハネまできっちり見て、ハネてないと×という厳しい先生でした。
あんなに練習したのに。4点にがっくりの娘。すると今度は先生は、娘のノートをクラスの人たちに見せて、「ローリーちゃん(仮名)は、こんなに練習してきたんですよ。みなさんのお手本ですね!」とほめてくれました。
そう言われたら恥ずかしがっちゃう子どももいるかもしれませんが、うちのはおだてれば木にも上るタイプなので、その後も大いに張り切って練習していました。
懸念していた割り算も何とかなったようです。
0点の答案に0点、と書くか、うそっこの9点をくれるか。ほんの少しの気遣いが、子供の心に与える影響は大きいと思います。この先生のもとで、帰国後の学校生活をスムーズにスタートできたことはとてもありがたいことでした。
なぜかシンプソンズが大好きだった先生。お元気でご活躍のことと思います。