「さざなみ」 神話的大女優シャーロット・ランプリングの魅力にはまる
9/23までのギンレイホールは、「さざなみ」と「最高の花婿」の二本立て。シリアスな老夫婦のイギリス映画と、最高に笑えるフランス映画。この二つの映画の共通点がわかりません。わかる方は教えてください!!
「さざなみ」
オフィシャルサイト:映画『さざなみ』 公式サイト
主演女優のシャーロット・ランプリングです。
この作品でベルリン国際映画祭はじめ、多数の主演女優賞を受賞しました。アカデミー賞でもノミネートしましたが、「ルーム」のブリー・ラーソンに持っていかれちゃいましたね。
映画のオフィシャルサイトでは、数々の映画に出演した、神話的大女優って書いてありますが、誰でも知っている人のことを大女優とは書かないものですよね。
私がこの人を初めてで唯一観たのがTVドラマ「デクスター」で、冷血な精神科医の役でした。
理知的で説得力のある精神科医で、こっそり頭に穴開けちゃうような(*_*)……。彼女に作られた殺人鬼、デクスターの物語が、圧倒的な悲しみの中に幕を閉じたので、どうしてもその裏がありそうなイメージがぬぐい難かったのです。
そのイメージを持たないで映画を観られるかしら?と心配でしたが、「さざなみ」冒頭で犬の散歩をしながらみせるふんわりとした笑顔に、すぐに別の人間と感じられました。さすが神話的大女優の演技力ですね!
彼女は引退した学校の先生。夫はもう少し高齢でよぼよぼな感じで、週末に二人の結婚45年記念パーティーを開く予定。
夫のトム・コートネイは頑固なおじいちゃんぽいのですが、シャーロット・ランプリングのスタイルのいいこと(゚д゚)!
「45年って半端だね」「40年の時は彼の体調が悪くて……」とか言ってたかな?悪かったのは体調かご機嫌かよくわかりませんが、50年まで待たないのは、彼の健康が心配だからかなと思いました。
そこへ一枚の手紙が届きます。
二人が結婚する以前の夫の恋人。その恋人の死体がスイスで見つかったというのです。旅行中に恋人を死なせた話は彼女も聞いていました。その手紙以来、そのことが頭から離れない二人。
以下ネタバレの内容も含みます。
スイスに旅行中、事故で亡くなった恋人の死体は、氷の中で死んだときの姿のをしているという。その時夫婦と偽って宿に泊まっていたので、夫に死体の発見の報告と、身元確認に来るかどうかの問い合わせがきたのだ。
夫は気持ちが昔に戻っている。そのままの姿でいる恋人に会いに行きたい。
妻はちょっとびっくり。その辺に散歩にさえ行かない人が、スイスの山を登れるものですか。
元々どんより老いている夫だが、夜中に起きて屋根裏へ行ったりしている。探しているのは恋人の写真だ。妻が屋根裏へ行ってみると、古ぼけたスライド写真を見つける。ぼやけて写っている恋人は、腹に手を当てている。身ごもっているのだ。
長年連れ添った夫婦にはついに子供ができなかった。
45年の結婚生活の後に訪れた、思わぬ訪問者。妻の心は複雑に揺れ動く。ほとんどの画面にシャーロット・ランプリングが映っているような作品ですが、とても見ごたえがありました。
原作はこちら。シャーロット・ランプリング抜きでもすごいのかしら?
In Another Country: Selected Stories (English Edition)
- 作者: David Constantine
- 出版社/メーカー: Comma Press
- 発売日: 2015/08/25
- メディア: Kindle版
- この商品を含むブログを見る