rocorinne bookworm

INPUTして、OUTPUT。

リンダ・スー・パークの3冊

モギーちいさな焼きもの師

12世紀後半、韓国西海岸の小さな村。モギという孤児の少年は、育ての親のトゥルミじいさんと橋の下で暮らしていた。ミンという名焼きもの師の仕事をこっそりのぞくのを楽しみにしていたモギは、ひょんなことからミンの仕事の手伝いをすることになる。薪割りや粘土掘りなどのきつい仕事をしながら、モギは焼きものの魅力に開眼していく。これは、どこにでもいる少年の話ではない。天賦の才を持って生まれた少年が、周りの大人に支えられながら大きく成長していく話だ。想像できる展開の話でありながら、ストレートに心に響く素晴らしい話だ。

 

モギ―ちいさな焼きもの師

モギ―ちいさな焼きもの師

 

 2002年のニューベリー賞受賞作。でも、この表紙に見覚えがある人も多いのは、2004年度全国学図書館協議会の読書感想文コンクールの課題図書(中学の部)になったからでしょう。

 

作者リンダ・スー・パークは、1960年生まれの韓国系アメリカ人2世で、イリノイ州の生まれ、スタンフォード大学英文学部卒業の才媛だ。アイルランド人の夫と結婚してから、夫の仕事のため、ダブリン(アイルランド)、ロンドンに住んだこともあるという。30歳から児童書を書き始めて、現在もニューヨーク州ロチェスターに住み、執筆活動を続けている。

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Linda Sue Park author ホームページもとてもセンスがいいわ。

Linda Sue left her job and moved to Dublin when a handsome Irishman swept her off her feet. って、自分で書いてる❤

 

モギの本は、原文は英語だが、片岡しのぶさんの訳もとてもいい!翻訳ものということを感じさせない自然さだ。ググるICUの出身だ。さすが~。

 

木槿の咲く庭

スンヒィ(妹)とテヨル(兄)の一家は、自分たちの朝鮮の名前を捨てて、日本語の名前を付けるように言い渡される。次は朝鮮の国花、木槿(むくげ)の木を焼き払い、桜を植えるように命令される。日本による占領下、1940~1945年の5年間を二人の兄妹の視点から描く秀作だ。

木槿の咲く庭

木槿の咲く庭

 

 原題は、When My Name Was Keoko -A Novel of Korea in World War Ⅱ(私の名前が清子だったとき-第二次大戦下の韓国の物語)。訳者の柳田由紀子さんが、2002年の発売とともにアメリカの書店で山積みになっている本書を見かけたとき、「創氏改名」を題材にした書物であることを察して、手に取ることを躊躇したという。日本人にとっては重いテーマであるからだ。 

厳しい環境にあっても、勇気を持ち続けるテヨル、賢く情感豊かなスンヒィの二人に共感を覚え、早く日本が負けて戦争が終わりますようにと読者も願ってしまうだろう。日本の若い世代に読んでもらいたい本だとしみじみ思う。作者の両親が主人公たちの世代だ。

作者の賢いところは、従軍慰安婦問題の扱い方だ。スンヒィと友人が校庭で勤労奉仕をしていると、日本人の監督官が来て、16歳以上の女子を集める。スンヒィはまだ小さいので対象外だ。16歳以上の女子が整列すると、校長先生(日本人)が、内地(日本)で、軍服をつくる織物工場が女子工員を多数必要としている。女子工員には、十分な食物と住居と給料も支給される。この中に、かくも貴きお勤めに奉仕するものがいれば申し出るように、と話す。話がうますぎやしないか、といぶかるスンヒィ。(やばすぎるでしょう、とおびえる私) 数人の女学生が名乗りを上げる。だが、20人の定員は集まらず、監督官は、「他にいないのなら私が選ぶ」と言って、列から女学生をひとりまたひとりと引きずり出す。突然スンヒィの友人が「あっ」と声を上げた。彼女の姉が引きずり出されたのだ。すると、校長先生が「この子はダメです。他の女子を選んでください」と言ったので、スンヒィの友人の父は親日派なのだと知れてしまう。

スンヒィからこの話を聞いた兄テヨルは、後になって、その女学生たちが、家に戻って家族に別れを告げるいとまも与えられず、トラックに乗せられて連れて行かれたということを知る。「その後は・・・船で内地に向かったのだろう。そして、それからは?どこかの工場で軍服を縫っている?たぶん、な。」

16歳以上の女学生の話はこれで終わりになっています。恐ろしいでしょう。そして、ここまででやめておく作者、うまいでしょう。

 

魔法の泉への道

 

2008年ナーヤ11歳。彼女は毎日何時間もかけて家と池の往復をして水を運んでいる。1985年サルヴァ11歳。学校の授業中に銃撃音を聞いてから、彼は家族と別れて難民となる。2人の人生が交錯するとき、きれいに澄んだ水が湧き出てくるのであった。

魔法の泉への道

魔法の泉への道

 

3冊目。今度の舞台は南スーダンだ。韓国の話を期待していたのに…と思ったが、これも素晴らしい話であった。

難民として11年間を過ごしたサルヴァくんの話は実話で、Water for South Sudan というサイトで、彼のビデオも見られる。南スーダンで井戸を掘り続けるサルヴァ君、イケメンです!(あぁ、私ったら…。)

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Water For South Sudan

スーダンが独立したのはこの本が書かれたのより後、2011年のことだ。南スーダンは2014年FFPの調査で、世界で最も脆弱な国家ランキングの首位に選ばれている。支援はまだまだ必要だ。