散弾銃をぶっ放すおばあちゃん登場!シカゴよりこわい町 シリーズ3部作
ダウデル夫人は、シカゴ近郊の町で独りで暮らす、変わり者で有名なお祖母さんだ。人付き合いはしない。侵入してくるものは散弾銃で撃退!大きな身体でたいそうな働き者で料理の名人。だが必要とあらば、食材を盗んできたりすることも平気だ。町の有力者の鼻を明かすこと度々。貧しい人が食べていけるよう、こっそり気を配っている、そんな豪傑なのだ。とってもおもしろく、実に爽快なシリーズだ。
ダウデル夫人を描いた、リチャード・ペックの3部作
『シカゴよりこわい町』(原題 A Long Way from Chicago)
1929年から1935年までの夏休み
1929年は大恐慌が始まった年。アル・カポネが大虐殺を行った年。シカゴに住む9歳と7歳の兄妹はシカゴとセントルイスの間にある祖母の家で夏に1週間を過ごす。シカゴもセントルイスも有名な犯罪都市ですね、この時代。このおばあちゃんがダウデル夫人だ。近所付き合いはしない。散弾銃をぶっ放す。嘘もつけば盗みもする。弱い者を助け、町の権力者と堂々と渡り合う。兄妹は毎夏この祖母の元で都会では味わえない体験をする。7年間の記録。
この作品でリチャード・ペックはニューベリー賞のオナーブック(佳作)を取りました。
- 作者: リチャードペック,Richard Peck,斎藤倫子
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『シカゴより好きな町』(原題 A Year Down Yonder)
1937年の一年間
大恐慌から8年、アメリカはルーズベルト不況に突入していた。父が失業したので、一家はシカゴで子供を養えなくなり、毎夏兄妹で訪れていた祖母の家に、娘だけが預けられる。シカゴ近郊の小さな町で、不況の影響はより深刻だ。娘は今回は田舎の厳しい冬を経験することになる。しかしダウデルお祖母さんは健在だ!!喝采を上げたくなる逸話が満載!厳しい寒さの早朝、雪の中によつんばいになってキツネを罠にかけていた祖母がそのお金で買ったものには落涙しました。
ニューベリー賞受賞作
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『シカゴよりとんでもない町』(原題 A Season of Gifts)
1958年の一年間
前作より20年後の設定で、90歳近いダウデルおばあさんはまだまだ健在です。今回はダウデル夫人の隣の家に越してきた牧師の一家の話で、反抗期の長女14歳、おとなしい長男11歳、好奇心いっぱいの末娘6歳の3人の子どもたち。真ん中のボブの視点から描いているところが客観性が持てて秀逸だ。何しろ末娘はダウデル夫人に心酔してミニダウデル夫人になってしまうのだから。1958年、シカゴ近郊の小さな町は不況と戦争を乗り越えて、豊かさを取り戻しているようだ。
このダウデル夫人、散弾銃をぶっ放す。ハロウィンで外にあるトイレ小屋を壊しに来た少年の頭からにかわを浴びせる。(おかげで彼は、眉毛、髪の毛なしの姿に…笑)盗む。嘘をつく。ぼったくる。ここまで過激なことをしていても、彼女がしていることは常に貧しい人や困っている人のためだ。しかもそんなそぶりをおくびにも出さない。それでもやはり、びっくりするほど過激な事を書けるのは、作者が男性だからかな。
リチャード・ペックは、1934年生まれ。大学卒業後徴兵されてシュトゥットガルトで従軍。帰還後大学院に学び、高校、中学で英語の先生となる。作家になるため退職。一年に一冊の割合で本を出しているという。