「リトル・ボーイ 小さなボクと戦争」
先週までのギンレイホールの2本立ては、「リトル・ボーイ 小さなボクと戦争」と「帰ってきたヒトラー」。第二次大戦の大量殺戮に関わったお話……と言ったら、このお話の主人公にはちょっとかわいそうなのですが。
「リトル・ボーイ 小さなボクと戦争」
オフィシャルサイト:映画『リトル・ボーイ 小さなボクと戦争』公式サイト
西海岸の小さな町に住む8歳のペッパー(ジェイコブ・サルバーティ)は、背が伸びないのが悩みだが、ペッパーの父(マイケル・ラパポート)は彼の大切な相棒だ。すごくいい感じのなかよし父ちゃんなんです。
時は第二次大戦下。ペッパーの兄ロンドン(デビッド・ヘンリー)は、徴兵検査で落とされてしまう。理由は偏平足……。
お父さんが代わりに兵役に就くことになり、ペッパーは落胆します。
お医者さんは、ペッパーの背が伸びないのはまだ病気とは言えない、とりあえず「リトル・ボーイ」というだけだよ、と言い、それが彼のあだ名になっていく。お医者さんはペッパーのお母さんに気があって、お医者さんの息子はいじめっ子だ。
ペッパーのママ(エミリー・ワトソン)
ある時ペッパーは、マジック・ショーで舞台に上げられ、念力でビンを動かす手品の手伝いをするが、自分が念ずるとビンが動くのは不思議な体験だった。ペッパーは戦場にいる父のために、海の向こうに向かって念を送りはじめる。
その頃、強制収容所から解放された在米日本人・ハシモトが町へ帰って来て、ペッパーは敵意を持つが、神父さんからすべて行えば願いがかなうリストをもらう。そのリストには、ハシモトと友達になる(Befriend Hashimoto)の項目が付け加えてあった。
ペッパーは、憎い日本人と友達になって、父親を取り戻せるでしょうか……。
以下はネタバレの内容を含みます。
日本人ハシモト。彼はいじめられっ子のペッパーにとって、次第にメンターのような友人になっていきます。
このしわくちゃ日本人のメンター、映画を見る人もすぐに信頼感を感じるのではないでしょうか?だってミヤギみたいですよね。「ベスト・キッド(1984)」の。
ハシモトの助けもあって、彼はリストを完成させます。海の向こうへ念を送り続ける小さいペッパーを、町の人たちも次第に応援する気持ちになってきます。
そんな時に、「リトル・ボーイ」という名の原子爆弾が広島を攻撃し、日本に大打撃を与えた、というニュースが入ります。「やったー!ぼく、やったよー!」と新聞を振り回して町を走るペッパー。人々も大喜びです。
しかし、ペッパーの父は捕虜になったことが知らされ、「リトル・ボーイ」がたくさんの人の命を奪ったことを知り、ペッパーは自分のせいなのかと悩むのでした……。
ペッパーのお父さん役、マイケル・ラパポート。ちょっとイカレタ男の役が多いです。
でも、私にとっては、TVドラマ「ボストン・パブリック」の、苦闘する教師役が一番印象が強いです。このドラマはおもしろかったな~。
偏平足でちょっと情けないお兄ちゃんのロンドンは、どこかで見た……と思ったら、これでした!
TVドラマ「ママと恋に落ちるまで」は、主人公テッドが自分の子供二人に、どうやってママと出会ったかを語るというスタイルのお話なのですが、大人気で9年間も続いたので、娘(リンジー・フォンセカ)とともに、9年間も長話を聞いている子供役を演じました。
第二次大戦下の、アメリカの田舎の人たちの日常を描いた作品で、ペッパー役の男の子がとてもかわいく、息子を戦争で亡くし日本人に恨みを持つ男もいれば、夫が戦争に行っている間にその妻の気を引こうとする男もいたりして、また、ハシモトがとても高潔な人なので、そんなところもよかったです。
監督はメキシコ出身のアレハンドロ・モンテベルデ。アメリカ西海岸の色合いがとてもよくて、メキシコからまたいい監督が出たな~と思いました。