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この映画観たよ。

2月に読んだ本のまとめ

今月の1冊はこの本です。

 

光のうつしえ 廣島 ヒロシマ 広島

光のうつしえ 廣島 ヒロシマ 広島

 

 

しばらく余韻から抜け出せないような、素晴らしい本でした。色とりどりの灯籠が流れていく情景から始まり、最後も同じ情景で終わるのですが、その風景といろんな思いにとらわれて、すぐに次のことができないような感覚に陥りました。戦後25年、広島に住む6年生の希未は毎年の灯籠流しの意味をあらためて考えている時、老婦人から声をかけられる。中学生になった希未たちは美術部で、身近な人にあの日のことを聞く、というテーマで文化祭に臨む。25年―それは、大事な人を失ったことが、触れられないほど痛々しい記憶ではなく、忘れ去るにはまだ生々しい過去。それぞれの思いを抱えた年月であった。それを戦争を知らない中学生たちが発見していく展開が見事でした。最初は楽に読めていたのですが、中学生たちの調べた内容が上がってくると段々読み進めるのが辛くなりました。戦後25年は身近な生き証人がたくさんいるときでした。作者は、希未と同じ年齢の被爆2世です。本書は戦後70年を控えた2013年発行ですが、記憶を風化させたくない作者の強い思いがあるのだと思います。

 

読了日:2月16日 著者:朽木祥

 

 

2016年2月の読書メーター
読んだ本の数:17冊
読んだページ数:3112ページ
ナイス数:1257ナイス

 

 

火星の人〔新版〕(上) (ハヤカワ文庫SF)

火星の人〔新版〕(上) (ハヤカワ文庫SF)

 

おもしろい!と聞いていましたが、本当におもしろい!科学系なことはあまりよくわからない私でも、どんどん読めてしまいます。感想は下巻で!

読了日:2月1日 著者:アンディ・ウィアー

 

 

火星の人〔新版〕(下) (ハヤカワ文庫SF)

火星の人〔新版〕(下) (ハヤカワ文庫SF)

 

夜更かしはやめようと思っているのに、本が置けないおもしろさでした!火星に一人取り残されたマーク・ワトニーのログは技術的なことでいっぱいだが、科学オンチの私でもおもしろく一緒にハラハラドキドキでした。作品の人気はユーモアを失わないワトニーの明るさゆえでしょう。ゴールデン・グローブ賞は、映画をドラマ部門とコメディ・ミュージカル部門に分けていますが、「オデッセイ」はコメディ・ミュージカル部門の作品賞を受賞しました。監督のリドリー・スコットは受賞挨拶で「コメディ?」と言って首をかしげていました。早く映画が観たい!

読了日:2月2日 著者:アンディ・ウィアー

 

 

むしのほん

むしのほん

 

カラフルな虫たちのお話ながら、ぞくっとする怖さが用意されていますね。柴田元幸さんの訳で原文の英語もついていて、読書の楽しみが倍増します。

読了日:2月2日 著者:エドワードゴーリー

 

  

何故か読むのにとても手こずってしまった。私が悪いので、まず語り手のチャールズが狂言回しかと思って軽く見ていたら立派な主人公であったこと。彼が親しくなるセバスチャンとその家族が、イギリス貴族としてはマイナーなカトリックなのだが、カトリックのめんどくささを揶揄しているのかと思っていたら、ウォー自身カトリックに改宗したほどで、宗教が重要な物語であったこと。だから最後の方は、え?え?えぇぇ?ってなってました。読み終わってみると、回想の美しさがよみがえります。ドラマを観て、すとんとおちますように。

読了日:2月13日 著者:イーヴリンウォー

 

 

The Tale of Peter Rabbit

The Tale of Peter Rabbit

 

地域の図書館には英語版が全部そろっていたので喜んで予約をかけていたところ、いつまでたっても来ない。誰か失くしてしまっったようです。一気に読むのはもったいないような「Beatrix Potter The Complete Tales」という本から、この話の部分だけ読みました。翻訳物に比べて絵も多かったです。

読了日:2月13日 著者:BeatrixPotter

 

  

ピーターラビットのおはなし (ピーターラビットの絵本 1)

ピーターラビットのおはなし (ピーターラビットの絵本 1)

 

この本は何度か読んだことがありますが、英文を読んでからの再読です。石井桃子さんは名翻訳者ですね。でも、いつも若干の読みづらさを感じるのですが、本の小ささのせいかと思っていましたが、横書きのせいもあるかもしれません。一度に目に入る文章の量が少ないと読みにくい、と聞きますがそのせいかも。解決策はもちろん、声に出して読むことです。誰かと一緒に読めればなおいいですね。

読了日:2月13日 著者:ビアトリクス・ポター

 

 

The Tale of Squirrel Nutkin (Peter Rabbit)

The Tale of Squirrel Nutkin (Peter Rabbit)

 

Each squirrel had a little sack and a large oar, and spread out his tail for a sail.ってかわいいです。「しっぽをひろげて ほのかわりにしました」ということですが。英語で読んでも日本語で読んでもナトキンのクイズがよくわかりません。イラッとくるOld Brownの気持ちがよくわかるというものです。

読了日:2月13日 著者:BeatrixPotter

 

 

りすのナトキンのおはなし (ピーターラビットの絵本 10)

りすのナトキンのおはなし (ピーターラビットの絵本 10)

 

「これから するのは、しりきれしっぽのおはなしです――」と、最初にネタバレされているのがちょっと気になります……。いたずらの代償は大きかったですね。

読了日:2月13日 著者:ビアトリクス・ポター

 

 

二日月 (ホップステップキッズ!)

二日月 (ホップステップキッズ!)

 

4年生の杏にはじめてできた妹は、ミルクを吐き戻してしまう。「5歳まで生きられたら表彰もの」「障害が出るだろう」と宣告された妹を、母は全力をそそいで育て始める。でも杏は?お父さんやおばあちゃんとお留守番。保護者会も運動会も来てもらえない。障害のある子はかわいそうなの?障害のある妹を見られるのは恥ずかしい?多感な時期に入る杏は様々な思いを抱える。……一般的には障害児の兄弟はもっと年齢が近くて葛藤の質も量ももっと深刻になると思うが、兄弟自身が幼くてそれを自然と受け入れながら育っていく場合が多いのではと思うが。

読了日:2月14日 著者:いとうみく

 

 

修学旅行に沖縄に行く息子(高2・特別支援学校)が国語の教材で使っているのを見て読んでみました。ねずみとりすのかわいいコンビが沖縄の人や動物たちに案内してもらって沖縄を堪能します。食事や、魚、植物、果物の種類も描きこまれ、カンムリワシイリオモテヤマネコやキジムナーも登場。こんな旅行ができたら素敵ですね。

読了日:2月14日 著者:たちもとみちこ

 

 

八月の光

八月の光

 

あの日の出来事を忘れないために書かれたこの本は、「銀行の石段に残ったかげ」のような、実際にあった話を元にした短編集だ。簡潔な筆致でその日人々に起こったこと、人々が目にしたものを書いて、ドラマでありながら涙を誘うよりは、もっと何か重いものを読者の魂に刻むようだ。

読了日:2月16日 著者:朽木祥

 

 

グランパ・グリーンの庭

グランパ・グリーンの庭

 

読み聞かせしてもらいました。庭師のおじいさんの作品、グリーントピアリーとともにおじいさんの生涯を孫がふりかえる作品で、とてもさわやかな絵で、ほのぼのしました。

読了日:2月17日 著者:レインスミス

 

 

ニック・ヴェルヴェット、プロの泥棒。依頼を受けて、価値のないものだけ盗み出す。報酬は2万ドル。価値のないものに大金を投じる依頼主はもちろん訳ありだが、理由は聞かない……と言っても必ず暴き出してしまう。泥棒にして探偵でもあるのだ。たいてい足の綺麗な美女が登場。かっこいいですね。おもしろかったです。【エドワード・D・ホック誕生日読書会】イベントで読みました。

読了日:2月23日 著者:エドワード・D・ホック

 

 

動く指 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

動く指 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

 

没後40年のクリスティを読書会の課題にしようと思い、私が選んだのがこの本。素晴らしい容姿の美女と、魅力ある女は違うということを、クリスティがうまく書いてる本があったなーと思ったのです。でも題名も探偵も思い出せない。若く裕福な傷病軍人が田舎で療養する話で、彼の一人称小説です。探し当てたのが本書、ミス・マープルでした。忘れているのも道理、ミス・マープルの出番はほんのちょっと。そしてとてもロマンス色の強い作品でした。おもしろくて一気に読みました。こんな甘々な本を選んじゃって~と、メンバーにからかわれそうです。

それでもクリスティ自薦の10作の中には入っている本です。

読了日:2月24日 著者:アガサ・クリスティー

 

 

まったき動物園

まったき動物園

 

ゴーリー動物園。不思議なことに、アルファベットの順や、韻を踏んだりという壁を乗り越えて、翻訳の方がよいと思えました。柴田元幸さん、やるなー。

読了日:2月25日 著者:エドワード・ゴーリー

 

 

やんごとなき読者

やんごとなき読者

 

80歳目前のエリザベス女王(Elizabeth II)が読書に目覚めたら、というお話だ。手に取る本の関係者を直接に知っていたり、側近や政府から読書の趣味を嫌がられたりする女王だが、次第に読み手から書き手になりたいと思うようになる。ロイヤルファミリーをネタにするのはイギリスのお家芸だ。良くも悪くも国民からとても関心を持たれているのですね。しかし女王の人間らしさの断面がくっきり浮かぶような深みも毒もなく、ごく軽い読み物となっているのはちょっと残念。

読了日:2月28日 著者:アランベネット

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