8月に読んだ本のまとめ
読書メーターは、私の読書のモチベーションを高めるとてもいいSNSなのですが、月ごとの読んだ本のまとめは、「先月読んだ本のまとめ」だけなのです。10月になると、「先月」が9月になってしまう( ;∀;)
……というわけで、9月の終わりにすべりこみで、8月に読んだ本のまとめ(の下書き)を作っていました。
8月の1冊は「ソドムとゴモラ1」がおもしろかった『失われた時を求めて』です。
8月の読書メーター
読んだ本の数:9
読んだページ数:1834
ナイス数:689
プルーストの名著『失われた時を求めて』は、読書メーターの中でも「読めない」「屈辱の挫折本」と言う仲間が集い、一年かけて読む予定で読み始めたのですが、ただいま3年目に突入中。毎月10日に経過報告をしあっています。
私は今、岩波文庫の9巻目に入りました。岩波版は全14巻になる予定で、まだ11巻までしか刊行されてない~~~!追いついたら、集英社版にでも移ろうかと思っていましたが、なかなか追いつけもしないのです。
読書会などの課題本もあり、これだけを集中して読む、ということができないのですが、「ソドムとゴモラ」に入ったらなんだかとてもおもしろくなってきました。
ソドム(男性の同性愛)の中心にいるのはシャルリス男爵という男なのですが、これを映画「スワンの恋」でアラン・ドロンが演じて、とてもいい感じでした。
シャルリス男爵のモデルとされるモンテスキュー伯のおかげで、このおひげかな?
失われた時を求めて - Wikipedia 絵はウィキペディアより。
シャルリュス男爵と青年の情事を盗み聞きして、いろんなことが腑に落ちた主人公は、強力なゲーダー(ゲイを見分けるレーダー!?)を身につけ同性愛者たちについて考察を語る。ゲルマント大公邸での夜会では既にずいぶん人気者の地位を獲得している主人公。病身のスワンとの再会。2度目のバルベックで祖母の死を実感し打ちひしがれる。アルベルチーヌのレズビアン疑惑。盛りだくさんな巻でした。
ソドム(男色)は古い歴史があるものの、この時代は罪に問われる国もあって、プルーストも生涯考察を重ねたのだろうと思う。ソドムの方はおじさまと青年、ゴモラの方は若い女の子同士というのは、全く男の(おじさまの?)自分勝手な妄想の世界という感じを持つのだが、その女の子同士の点で、アルベルチーヌの周囲に嫉妬したり彼女を束縛したりという愛し方が、もう……。
読了日:08月11日 著者:プルースト
新聞配達をしながら、次々と食べ物を失敬するビリー。家は貧しく、食べるものを自分で調達するのは少年が身に着けた生き残るすべだ。15歳。炭鉱町。粗暴な兄。無責任な母。「あのうちの子」と蔑視されるビリーは、進学しないのでもう働く進路を決めなければいけない。兄のように炭鉱で働くのだけは嫌だと思っている。雄弁に語る言葉を持たないビリーだが、長元坊(ハヤブサ)のヒナを捕り、鷹匠入門の本を読み訓練している。訓練された長元坊のケスは、大人でもほれぼれするような仕上がりだ。ビリーの「作り話」と廃れた映画館の夢に泣かされた。
ヨークシャー訛りの強い本作の原文は手強いそう。和訳の高橋鍾さんは自分の出身地(島根)の方言で訳されたそうだ。1969年ケン・ローチ監督で映画化されたが、聞き取れないほど訛りがひどいので、近年DVD化された折は部分吹き替えが使われたそうだ。IMDbのトリビアによると、ディズニーが映画権の取得を目指したが、ディズニー風ハッピーエンドを望まなかったハインズが拒否したそうだ。鷹を訓練する少年の図はディズニーにピッタリですね。でもそれだけの話ではありません。
【ガーディアンの1000冊、8月イベント】で読みました。93冊目です。
読了日:08月20日 著者:バリー ハインズ
- 作者: マリア・テルリコフスカ,ボフダン・ブテンコ,うちだりさこ
- 出版社/メーカー: 福音館書店
- 発売日: 1969/08/10
- メディア: 単行本
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読み語りしてもらいました。小学1年生の教材にして、不思議に思ったことを話し合わせた、という小学校の先生に読んでもらったのです。しずくが気化したり凍ったりするのが、科学の本みたいでなく自然に出てくるお話です。その折、高学年でこの本で感想文を書いた子供の話が出ました。凍って周りを壊してしまうしずくは自分のことの様だ、と書いたそうです。むむむ、奥深い。
読了日:08月20日 著者:マリア・テルリコフスカ
いわむらかずおさんの講演会で、ご本人に読んでいただきました。1ページ毎にとんぼが出てきて、とんぼもいっぱい種類があるんだなー、絵が気持ちいい……と、のねずみたちと一緒にとんぼ池を楽しみました。10匹の子どもたちのお気に入りが決まっていて、このページではどこにいるかな?と熱心に何度も読む子供がいっぱいいるそうです。いわむらかずおさんは、このシリーズを描くなら田舎に住まなければと、栃木県益子町に引っ越しなさったそうです。だから14匹シリーズの第1話は引っ越しの話なんですね。
14匹シリーズの(多分使われなかった)デッサンを見せていただきました。みんなで食卓を囲んでいますが、卓上のごちそうはとても貧しいものです。そこへお父さんが大きなお芋を引きずって帰ってきたところ、という絵です。戦時中は幼児期で、秋田に疎開していたいわむらさん、幸い周囲は田園地帯、それでもひもじい毎日。家族は3カ所に離れ離れになっていたそうです。家族みんなで囲む食卓がいちばん幸せな場面という思いのあふれたデッサンだったそうです。
(読友さんに、ご本人の朗読いいですね!とコメントをいただいて……)
ありがとうございます(´∀`) いわむらさんは読むのもすごくお上手で、よく読んであげる機会があるのだろうなと思いました。絵本は読んであげたり読んでもらったりして、楽しい時間を共有できるところがいいですよね。大人になっても、本を読んでもらうのは楽しいものです。
読了日:08月20日 著者:いわむら かずお
小松崎先生、御年92歳、足が動かなくなっちゃって、と杖をついておられますが、声の張りは相変わらず。こま先生に読んでいただきました。大人になっても絵本を読んでもらうのは本当に楽しいものです。先生、いつまでもお元気で!
読了日:08月20日 著者:小松崎 進
水回りのリフォームをして、家が半分だけピカピカ。このまま断捨離な暮らしへ向かうべく、この本を手に取りました。近現代の小説家などのエッセイ選集です。前半の片づけられなくて居直る人達の話は正直いらなかったな。沢村貞子さんの話がとても良くて、こんな励まし(後押し?)を待っていました!猫の耳そうじなど、話としてはおもしろくてもあまり関係無さすぎるものも。「片づけたい」なのにちょっと整理されてない感のあるエッセイ集でした。
読了日:08月22日 著者:赤瀬川 原平,阿川 佐和子,新井 素子,有元 葉子,有吉 玉青
文豪100人の愛のことばを読む……。作家の恋人に宛てた手紙からのものがとてもよい感じと、ドキドキな感じがします。「あなた様なしには 私の今後の芸術は成り立ちませぬ もし あなた様と芸術とが両立しなければ 私は喜んで芸術の方を捨ててしまいます」谷崎潤一郎
「二人きりでいつまでもいつまでも話していたい気がします。そうしてKissしてもいいでしょう。いやならばよします。この頃ボクは文ちゃんがお菓子なら頭から食べてしまいたい位可愛い気がします」芥川龍之介
望月さん:(芥川龍之介の手紙で)「Kissしてもいいでしょう」で押してきたと思いきや、「いやならばよします」と引いてみせる。そして最後に「食べてしまいたい」の強烈な一言。こんなに全てのピースがうまくハマった恋文をもらったらやばいでしょう。著者望月さんの特別な解説が読めるのはこの記事です。
愛してると伝えたいけど言葉にできないあなたに——。文豪100人が綴った"I Love You"の訳し方
読了日:08月24日 著者:望月竜馬
図書館で予約していてやっと回って来ました。恩田陸さんの方を先に読んでしまいましたが、本屋大賞は2年続けてピアノに関する本だったのね、と思います。羊と鋼の森とはピアノのことで、素敵な表現だなと思いました。特に耳がいいわけでもなく、ピアノも弾けない青年。でも感性は素直に豊かで敏感。彼の成長が楽しみに思えました。大きな出来事があるわけでもなく、こんな本も本屋大賞に選ばれるのだなと思いました。
読了日:08月30日 著者:宮下 奈都
(おまけ)相変わらず読めてないこの頃ですが、8月に観た映画は以下の通り。
読書が低調なのはAmazonプライムとNetflixのせいかと……。
2度目の「ムーンライト」もよかった~~~。