「リリーのすべて」 ……Tが一番辛いのかも、と思いました。
「リリーのすべて」を観てきました。
オランダ、コペンハーゲン。1926年。風景画家として成功しているアイナー(夫)と、肖像画家として不振なゲルダ(妻)。ゲルダが、女性モデルの代わりに、アイナーにポーズをとってもらったときに、アイナーの内部で何かがはじけた。
アイナーを女装させて遊ぶ二人。女装した時はリリーになり、ゲルダはリリーを描いて成功する。しかし、リリーはもうアイナーに戻りたくなくなっていた……。
これはおもしろかったー!!
それにすごい映画だと思いました。
なにより、エディ・レッドメイン。最初は美しい妻を持つ普通の男として出てくるけど、女性の服に触れてうっとりしたり、女性のポーズをとってみたり、表情、しぐさ、すべてが彼の(彼女の)繊細な心情とその変化を語り、とっても素晴らしかったです。
彼に2年連続、オスカーの主演男優賞をあげてもよかったくらい!!
(レオ様のレヴェナントはまだ観てませんが……。笑)
女装して初めてパーティへ出かけるリリー。彼女を見染めて迫ってくる男は、
ベン・ウィショーくん。
しかし、ベン・ウィショーくんの方はゲイで、女装の男と見抜いていたんですね。
ゲイの男に、「男」を求められて傷つくリリー。
愛する夫を失っていくゲルダ。
なぜか、劇中どんどん老け顔になっていきます。苦悩のせいか……。
元々、この時代らしく夫に仕える、というようなタイプでなく、画家として同等でありたいと思っているようなしっかりした女性。
夫を愛する気持ちと、それを理不尽に奪われることと、すべてを乗り越えて、リリーを支えます。
アリシア・ヴィキャンデル、かわいい~。
そして、みごと、アカデミー賞助演女優賞を獲得しました。おめでとー!!!
LGBTは、レズビアン・ゲイ・バイ・トランスジェンダーの4つの頭文字を集めたもので、LGBは、愛する対象が同性や両方、ということですが、
Tのトランスジェンダーに含まれる、性同一性障害。自分自身が生まれ持った身体と心の間に違和感を持つんですね。そしてそれは、とても苦しいことらしい。そして、性同一性障害であっても、更にLGBである可能性もあって、身体は男、心は女、愛するのも女、という場合もあるらしいです。
この映画の場合がそうでした。
主人公の女性は、親友が亡くなった後、残された彼女の夫と幼い子供の面倒を見ている。その夫には女装癖があり、女同士でお出かけ~♪とかしているうちに、二人は愛し合うようになるのでした。
命がけになるような手術でも、それが唯一の救いと思うほどの苦悩を持つなんて、なんて辛いことでしょう。想像することしかできませんが、性同一性障害の人の辛さをエディ・レッドメインの素晴らしい演技でたっぷり見せてもらいました。
実話を基にした映画だったんですね。
原作本はこちら。
Amazonで検索すると一緒に出てくるのがこの本。おもしろそう~。
女流画家ゲアダ・ヴィーイナと「謎のモデル」 ~アール・デコのうもれた美女画~
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展覧会もやっていたそうです。見たかったなー。
話題の映画「リリーのすべて」の中で、リリーの妻ゲルダ(ゲアダ)がどんな絵を描いていたのか気になった方はこちらへどうぞ→ゲアダ・ヴィーイナ展、3/21には荒俣宏氏のトーク。(入場無料)https://t.co/51HL1rtaMI pic.twitter.com/Nibw55w7Sv
— 熊G (@KUMARGUY) 2016年3月19日
「リリー・エルベの肖像」。これがゲアダから見たリリーの姿。 pic.twitter.com/8253BYjlGr
— 熊G (@KUMARGUY) 2016年3月21日
(追記)トランスジェンダーは、イコール 性同一性障害ではなくて、性同一性障害を含むいろいろなケースがあるようです。性同一性障害は医学用語で、トランスジェンダーにははっきりした定義はないらしいです。