加古里子とドクター・スース 絵で損していると思う大家たち。
児童文学翻訳の大家であるさくまゆみこさんのお話を聞く機会があって、その時に、「上橋菜穂子さんの「国際アンデルセン賞」は私も推薦させていただきました」と、おっしゃっていました。
ドナルド・キーン氏の特別番組を見ていた時に、川端康成のノーベル文学賞受賞時に、それを喜ぶとともに、自身が川端を推薦していた経緯を話されていました。
推薦って、どんな風に行われるんでしょう?ってよくわからないのですが、
推薦して失敗した話をしてくださった方もいます。
絵本作家の長野ヒデ子さん、代表作はまずはこれですね。
最近はこんな本も出されてますますお元気。
おばあちゃんがおばあちゃんになった日 (絵本・こどものひろば)
- 作者: 長野ヒデ子
- 出版社/メーカー: 童心社
- 発売日: 2015/02/19
- メディア: 大型本
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翻訳をなさったり、CDを出されたり、とかく活動的な方ですが、長野ヒデ子さんが、加古里子さんを、なんだかいっぱい活動して国際アンデルセン賞に推薦しているのだけど……とおっしゃっていました。
国際アンデルセン賞は、作家賞と画家賞の二部門に分かれていて、歴代の受賞者(日本人)は以下の通り。
作家賞
画家賞
加古里子さんが、候補に挙がったのは2012年。画家賞の部門です。
画家賞候補者 2012 Hans Christian Andersen Award Candidates
の中に「かこさとし」のお名前があります。でもこの候補者は30人の長いリスト。
この後、ファイナリスト5人がショートリストとして選ばれ、その中には「ガンピーさん」などで有名なジョン・バーニンガムもいましたが、この年の受賞者は、チェコのピーター・シスという画家でした。
名著として名高いのはこれかしら。
1926年生まれ。子どもたちを夢中にさせたたくさんの作品があり、まだ現役でご活躍です。一番最近発表なさっているのは、これかな?
「 これからの平和のために、わたしたちにできること」という特集で、著名な法律や政治、国際関係の専門家、作家や映画監督、絵本の作り手たちが寄稿しています。
加古 里子さんのエッセイのタイトルは、「明日ではなく、今なのです」熱いですね!
加古里子さんの絵本、もちろん英訳もあります。
Little Daruma and Little Tengu: A Japanese Children's Tale
- 作者: Satoshi Kako,Peter Howlett,Richard McNamara
- 出版社/メーカー: Tuttle Pub
- 発売日: 2003/01
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これなどは、ウォーリーを探せの先駆ともいえる作品!
- 作者: Kyoko Matsuoka,Satoshi Kako,Mia Lynn Perry
- 出版社/メーカー: RIC Publications
- 発売日: 2006/04/15
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絵本作家として大変功績のある加古里子さんですが、画家賞となると、加古里子さんの親しみやすい、ちょっと漫画っぽい絵は不利なようですね。
安野光雅さんのように芸術性の高いものが選ばれてしまうのでしょう。
私は、ドクター・スースもまた、絵柄で損をしている作家だと思っているのです。
ドクター・スースと言えば、英語圏で育った人なら知らない人はいないのではないでしょうか?
まずはこれです!
- 作者: Dr. Seuss
- 出版社/メーカー: Random House Books for Young Readers
- 発売日: 1957/03/12
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雨の日のお留守番、子どもたちのところに帽子をかぶった猫がやってきてハチャメチャしていくのです。楽しいナンセンスで、すばらしいのは韻を踏んだリズミカルな文章です。
私は常々、ドクター・スースの絵本は、英語を習いたての中学生……(と、最近は小学生も習っているけど)に副読本として原文を読ませたらいいと思っています。簡単だしおもしろいし、なにより、英語圏で育った人の基本的な教養ですからね。
お勧めの作品たち。
Green Eggs and Ham Book & CD (Book and CD)
- 作者: Dr. Seuss
- 出版社/メーカー: Random House Books for Young Readers
- 発売日: 2005/01/05
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お、オーディオつきもこの値段ならいいかも。
Mr. Brown Can Moo! Can You? (Bright & Early Books(R))
- 作者: Dr. Seuss
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Fox in Socks Book & CD (Book and CD)
- 作者: Dr. Seuss
- 出版社/メーカー: Random House Books for Young Readers
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また、映像化されているものも多いです。
映画になったものは4作
2000年 How the Grinch Stole Christmas
「ハットしてキャット」 (マイク・マイヤーズ主演)
2003 The Cat in the Hat
「ホートン ふしぎな世界のダレダーレ」 アニメ作品
2008 Horton Hears a Who!
「ロラックスおじさんの秘密の種」 アニメ作品
2012 The Lorax
米国内では、ピクサー作品にも劣らない売り上げです。でも、日本ではあまり話題にならなかったですよね。
ドクター・スース (1904 – 1991)は、ピューリッツアー賞を含むたくさんの賞を受賞していますが、アメリカで絵本の画家に贈られるコールデコット賞は受賞しませんでした。
やっぱりこの絵柄が……。アーティスティックでないというか。
wikiまである人気ぶり。
ドクター・スースの日本語訳もあることはあります。
これなんか、詩人のいとうひろみさんが、力を入れて訳していたはず。
- 作者: ドクター・スース,Dr.Seuss,いとうひろみ,伊藤比呂美
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2001/01/05
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この本の、出版社からのコメントに「原作者は、全世界販売部数4億5000万部という、驚異的数字の絵本作家、ドクター・スース。夢と冒険に満ちたミラクルワールドを存分にお楽しみください」とあります。4.5億!!
言葉遊びのおもしろさがドクター・スースの持ち味なので、やはり翻訳は苦しい。
でも、絵に魅力があったら、それでも英語圏以外でも読まれたんじゃないかなと思うのです。
国際アンデルセン賞の候補作を探すのは結構大変でした。
やまねこ翻訳クラブさん、いつもお世話になります。