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4月に読んだ本のまとめ

先月の一押しは、2冊、『銀河鉄道の父』と『太陽の帝国』です。

4月の読書メーター
読んだ本の数:8
読んだページ数:2261
ナイス数:689

 

 

銀河鉄道の父 第158回直木賞受賞

銀河鉄道の父 第158回直木賞受賞

 

 家長として厳しい態度をとろうとしながらも、息子の背嚢にそっと薄荷糖を入れ「われながら愛情をがまんできない」という、明治の父をかわいく思ってしまう。この立派な愛情深い父にして、息子は規格外な人物だ。「永訣の朝」の詩で妹トシが早世することを知って読んでいるので、幼いころからの仲の良い様子が哀しくも美しくも思える。政次郎が「永訣の朝」を読みながら悔しがって七転八倒する姿、「雨ニモマケズ」を孫たちに読み、「修身じみた文ではじまって…なーんだそういう人がいるって話じゃなかったのか」と解説してみせるところもよかった。

 

この本は読書会の課題本で、とても評判がよかったです。「先月の『影裏』との違いは何?」「これが直木賞芥川賞の違いね」などと話していました。

読書会のメンバーには宮沢賢治に詳しい人が多く、同じレベルでは読み切れないのではと思いましたが、かえって先入観なしにこのお父さんの気持ちに沿って読めたことはなかなかよかったです。
読了日:04月27日 著者:門井 慶喜

 

 

太陽の帝国

太陽の帝国

 

 上海租界で生まれたジムは、本国を知らないイギリス人の少年だ。各国の商売人たちが集うこの華やかな街が、真珠湾攻撃から一変する。両親とはぐれ逃げまどい、日本軍の捕虜になる。作者の実体験に基づく話というが、原住民の中国人に対する蔑視や、敵である日本軍を保護してくれるものとみなしたり、終戦間際の極限状態はまさに地獄だが、戦争でない普通の状態をこの少年は知らないのだ。「次の戦争はいつはじまるんでしょう」「いつの日か中国は全世界に罰を与え、恐ろしい復讐をするだろう」…少年の妄想は予言でもある。

スピルバーグの映画を以前観て、いまや名怪優となったクリスチャン・ベールが子役でボーイソプラノで歌っていたのが印象的でした。【ガーディアンの1000冊、4月イベント】100冊目\(^o^)/♪
読了日:04月30日 著者:J.G.バラード


Empire of the Sun (1987) Official Trailer - Christian Bale, Steven Spielberg Movie HD

 

 

 

茨木のり子の家

茨木のり子の家

 

 茨木のり子さん(1926~2006)の詩とともに、たくさんの写真を紹介した本だ。趣のあるつくりの家、愛用の品物、鉛筆で書かれた原稿、書棚……。彼女らしい、潔さ、愛がページ毎に見られるようだ。茨木のり子さんはなかなかの美人で、谷川俊太郎が写したポートレートも多い。ご主人を亡くしたあと、その想いを綴った未発表の詩が、無印の箱に収められていたという。Y、とだけ記されたその箱と箱の開けたところの写真、秘密を開けたようにどきどきしてしまいました。

 

先週、オープンしたてのミッドタウン日比谷で映画を観てから、パン屋のル・プチメックを目当てに隣の日比谷シャンテに行くと、HMV & BOOKS HIBIYA COTTAGE という本屋がオープンしていました。なんだか女性向けの本が多いなぁと思ったら、本当にそんなコンセプトで作られた本屋なのだそうです。コテージという名前から、「家」が特集のコーナーがあり、この本に目を魅かれました。

この人は本当に人気者。何人かの人からコメントをいただきました。
読了日:04月08日 著者:茨木 のり子

 

 

ペスト (新潮文庫)

ペスト (新潮文庫)

 

 194*年フランス領アルジェリアの港町に、ペストが発生して猛威を振るい、町が隔離される。架空の設定だが、天災、戦争、原発事故とか何の形でどの時代に現れてもおかしくないこととも思える。医師リウ―の記録として書かれているが、解説に「(発表されてすぐ大成功をおさめたが、通常の成功作と違って)想像や感情に強く訴える要素はきわめて少なく、むしろ主として頭脳に訴える作品である」とあって、私にはちょっと難しく時間のかかる読み物でした。

「きわめて少ない部分」でしょうが、オトン判事の息子の死の場面は、私が経験したかのように辛く思えました。リウーとタリーが泳ぎに行く場面にちょっと救われました。【ガーディアンの1000冊、3月イベント】で読みました。大分遅れてしまったので、ここでこっそり申告しておきます。99冊目。おっ99冊目だ!
読了日:04月10日 著者:カミュ

 

 

怪談えほん (3) いるの いないの (怪談えほん3)

怪談えほん (3) いるの いないの (怪談えほん3)

 

 表紙が怖くて読んでしまった。おばあちゃんの家ははりがとても高くて、上の方は暗い。怖い。猫がいっぱい。おばあちゃんは後ろ姿ばかりだ。「みたのかい。じゃあいるんだね」「みなければいないのとおんなじだ」でもみちゃう。怖い。怖い。
読了日:04月15日 著者:京極 夏彦

 

 

はじまりの日

はじまりの日

 

 Forever Young を、「はじまりの日」と訳すアーサー・ビナードさん、かなり自由な訳だ。巻末に画家の説明書きがあり、各ページに描かれた人名があるものの、カントリー、フォークソングに詳しくない私にはビッグネームでもピンとこない(°_°) ……ノーベル文学賞受賞者の作品を絵本でつまみ食いしようと思ったが、画家とビナードさんに持って行かれた気分だ。
読了日:04月20日 著者:ボブ・ディラン

 

 

 学校でいじめにあった周は、祖父の誘いに乗ってスリランカへ行く。元気な祖父65歳、JICAみたいな仕事をしているらしい。スリランカの内戦が終わったのは2009年と聞いて、驚く周。私も勉強になりました。でも、タイトルからして滞在記なのかと思ったら、世界遺産のポロンナルワ、リゾート地のミリッサを回る「意識高い系観光旅行」な感じで、観光旅行だからなぁ……少年のスリランカとのかかわりも薄っぺらい感じはしました。随所いいところはあるのだけど、ぐっとくるお話ではなかったです。

児童書の読書会で、今年度は鈴木出版の海外児童文学を読むことになりました。この作品はシリーズ唯一の日本人作家です。
読了日:04月20日 著者:中川 なをみ

 

 

 アルベルチーヌをパリの家に住まわせて、贅沢な装いを与え、教養もついてきた彼女に、「愛していない、いなくなってくれれば」と思ったり、嫉妬の疑念がわくと苦しみながら詮索し、束縛し、その状態から脱するとまた飽きてしまう、という自分の恋心を詳しく綴る。この間「私」はほとんど外出しなくて、家の中から物売りの呼び声を聞いていて、その呼び声の楽譜が注に添付されていて楽しい。当然接吻以上のことをしているはずだが、アルベルチーヌの接吻を、第1巻で求めた母親のおやすみのキスと比べたりしてるのだ。マルセルったら。

この巻からプルースト死後の発表だそうで、アルベルチーヌが「私」を「マルセル」と呼ぶ場面が2回ある。【『失われた時を求めて』読破マラソン
読了日:04月23日 著者:プルースト