rocorinne bookworm

INPUTして、OUTPUT。

2月に読んだ本のまとめ

エイダン・チェンバーズの2冊がよかったです!

もっと読まれてもいいのに!!

 

2月の読書メーター
読んだ本の数:9
読んだページ数:2632
ナイス数:746

 

 

 

おれの墓で踊れ

おれの墓で踊れ

 

 瑞々しくて鮮烈な愛の物語……クラクラしながら読みました。死んだ友人の墓を損壊した罪で起訴された16歳の少年、と最初に紹介される主人公ハル。バリーとの出会い、ドキドキ、スリル、恋に落ちるときの一秒一秒を詳しくたどり、傷つきやすい少年の心に共感してヒリヒリします。エイダン・チェンバーズは『二つの旅の終わりに』を以前読んでとてもよかったのですが、この小説も最高でした。どちらもダンス・シークエンス(全6冊)というシリーズ物の一部だそうですが、あとの4冊は未訳です。読みたい!

エイダン・チェンバーズ、イギリス人(1934~)。国際アンデルセン賞受賞作家の本を読んでいます。
読了日:02月13日 著者:エイダン チェンバーズ

 

 

 

二つの旅の終わりに

二つの旅の終わりに

 

 再読。やはり素晴らしい作品だ。1995年、アムステルダムに招かれたイギリスの少年ジェイコブ。第二次大戦中「マーケット・ガーデン作戦」(連合軍空挺部隊30,000人!がパラシュートでオランダへ降下し、多くの犠牲者が出たという)で、アルネム近郊で負傷したイギリス兵を助けるオランダ人の少女ヘールトラウ。2人の話が交互に語られる。二つの時代、生と死。愛とセックス。家族の秘密と絆。やがて一つの物語となり、ジェイコブにはある責任が託される。盛りだくさんな内容で厚い本だがぐいぐい読ませてくれる。

国際アンデルセン賞受賞作家の本を読んでいます。初めて読んだときは、娘が小学校高学年で私の読む本に興味を持ってくれて一緒に読んだりしていたころだったので、本書のYAとしてはかなりあからさまなセックスに関する記載はかなり気になってしまいました(//∇//)、が、今や私もいい大人になったので、子どものことは頭から追い払ってじっくり読めました。素晴らしい作品だと思います。もっと読まれてもいいのに。
読了日:02月15日 著者:エイダン・チェンバーズ,原田 勝

 

 

 

 バルベックからラ・ラスプリエールへ何度も往復する汽車の旅。ヴェルデュラン夫妻のサロンと滑稽な少数精鋭たち。「私」の社交界における評価はますます高まっているようでひっぱりだこだ。一方シャルリュス男爵はその性癖と行動を知られて噂されているが、本人は知らぬ体を装いながらモレルを追い回している。シャルリュス男爵とモレルの関係は結婚前のスワンとオデットのようだなと思っていたら、「私」もアルベルチーヌの一言から、同じ罠に陥ろうとしているところでソドムとゴモラが終了。嫉妬、疑心にからめ捕られることこそ恋心って苦しい。

始めてヴェルデュラン夫人のサロンへ行った日は、少数精鋭たちが駅ごとに集まってくる汽車の様子や、ブリショの地名の語源の長い長いお話、ラ・ラスプリエールの所有者のカンブルメール侯爵夫妻も招待されていて、大家と家主のそれぞれの思いと対立などあって盛りだくさんだけど、とにかく長く私には睡眠導入剤状態でした……u_u。訳者の吉川さんも、物語の中心部をなす「ゲルマントのほう」と「ソドムとゴモラ」は、全巻読破を目指す読者の多くが挫折する難所、と書いておられるのでそこを乗り切ったと知ってホッとしています。

【ガーディアンの1000冊】1月のイベントがFamily & self だったので、1月中に読み終わりたかったです。ここでひっそり申告しておきます。
読了日:02月11日 著者:プルースト

 

 

 

わたしは だあれ?

わたしは だあれ?

 

 構成の後路好章さんのコラムからこの本のことを知った。後路さんは子供の本のベテラン名編集者だ。本のアイディアが浮かんでから、ダミー本を作り、子供たちに何度も読み聞かせの末に完成されたそうで、小さい子に読み聞かせたときの笑顔や笑い声が聞こえてきそうだ。こういう本は必ず買って手元に置いて、子供たちのリクエストに何度も応えて読んであげるとよいと思います。
読了日:02月11日 著者:まつもと さとみ,うしろ よしあき

 

 

 

ホックニーが語るホックニー (パルコ・ピクチャーバックス)

ホックニーが語るホックニー (パルコ・ピクチャーバックス)

 

 「そういえばバリーの部屋は、屋内の人を描いたホックニー作品の中の部屋を思い出させた。その日以降、バリーが立ったり座ったりしているさまはいつも、ホックニーが描いた人々を思い出させた。どれも静物画のように、構図の一部であって、現実というには少しポーズが決まりすぎ、とても清潔で明るくて鮮明でさわやか。ピントがきっちり合ったようなその感覚と、とらえどころのない何か、計算しつくされた無造作の陰で待ち構えている何かがある感じが、オレは好きだった。」『おれの墓で踊れ』より

バリーの部屋には『ニックのプールから出るピート』が飾られていた。エイダン・チェンバーズ『おれの墓で踊れ』に引用されていたのでホックニーの画集を手にしました。ホックニーは美術を学ぶ間に良心的徴兵拒否者として2年間病院で働き、その時殆ど創作をせずにプルーストを読んでいたそうです。イギリスから出たことのない彼にはプルーストは難しかった、例えばアスパラガスのことが書かれていたがアスパラガスというものを知らなかった。後でもう一回読み、一度読んだくらいではたいして分かりっこないなと実感したそうです。
読了日:02月14日 著者:デヴィッド・ホックニー,ニコス・スタンゴス

 

『ニックのプールから出るピート』の絵はこちら。

f:id:rocorinne:20180314131040j:plain

『おれの墓で踊れ』はゲイの少年たちの話で、ホックニーもオープンなゲイなわけですが、部屋に飾るにはちょっと恥ずかしい絵ですよね(//∇//)

 

 

 

ながいながい旅―エストニアからのがれた少女 (大型絵本)

ながいながい旅―エストニアからのがれた少女 (大型絵本)

 

 リンドグレーンの本に絵をつけているイロン・ヴィークランドの自伝的絵本。エストニア生まれ。第二次大戦中、家族と別れ、犬とともにエストニアの郊外へ疎開する幼い少女イロン。イロンを守る犬も、戦火に倒れてしまう。戦後ソ連軍が戻ってくると、イロンはスウェーデンへ亡命。エストニアは大変な運命を辿って来たのだな、と知る。犬はハスキーのようだが、子供の時に実際に飼っていたのはグレートデンだそうだ。
読了日:02月16日 著者:ローセ ラーゲルクランツ

 

 

 

火星のプリンセス (創元SF文庫)

火星のプリンセス (創元SF文庫)

 

 スペースオペラの古典だ。職業軍人ジョン・カーターだが、火星に着いてからの活躍ときたら、ありえないほど強いのだ。巨大な怪物めいた原住民を、腕のパンチ一つでノックアウト!装身具以外は身につける習慣のない土地で絶世の美女にして王女のデジャー・ソリスと恋に落ちる。ジャバ・ザ・ハットとレイア姫の原点はここでしょう!?というシーンなどもあり、後世の作品に与えた影響は色々あるのだろうと思う。一番おもしろくないのは主人公が最初からヒーローとして出来上がっているところだが、古典だからつっこめない気はします。

ディズニー映画の「ジョン・カーター」は、空飛ぶ空母の戦闘シーンとかが見事で主人公はかっこいいのに、何故大失敗に終わったのか、つい考えながら読んでしまった。デジャー・ソリスがちょっと美貌不足?タイトルを「プリンセス」から「ジョン・カーター」に変えて3部作にする予定だったが、ディズニーはすでに版権を手放したそうだ。
読了日:02月22日 著者:エドガー・ライス・バローズ

 

映画のジョン・カーター。かっこいい!

f:id:rocorinne:20180314132746j:plain

 

映画の火星のアマゾネスじゃなくてプリンセス。

美貌不足なせいか、写真もいいのがあまりない。

f:id:rocorinne:20180314132751j:plain

 

 

 

村に火をつけ,白痴になれ――伊藤野枝伝

村に火をつけ,白痴になれ――伊藤野枝伝

 

 この文体にして、引用文には都度出典を記載というまじめさ。伊藤野枝の強烈な応援歌ではあるものの、偏らずに彼女の姿を読むことができたと思う。社会の在り方について、女性の権利について、今でもこれが理想という姿にはなってないわけだし考えてしまいます。彼女が抱いた、無政府主義を小さな「自治」の相互扶助によって実現、て、今でも真剣に考えて取り組んでいる人がいるでしょう。

読書会で読みましたが、このはっちゃけた文章にがまんがならない!という人もいました。岩波がこれでよく出したな、とも。でも、大体の人はよく調べて書いてあるし、題名もキャッチーだし、読みやすい!と好評でした。私は社会主義アナーキストについて、女性の人権について、今でも続く問題だなと考えさせられたことがとてもよかったです。
読了日:02月23日 著者:栗原 康

 

 

 

 この岩波版の「はじめに」で寂聴さんが、94歳になった今もぜひ読んでもらいたい本をひとつと云われたら迷いなく本書と続編の『諧謔は偽りなり』と答えるだろう、と書いている。本文の冒頭には「伊藤野枝といっても、昭和生まれの人たちにはおそらく何の記憶もなく…」と書いているので、伊藤野枝の名を世間に知らしめたのは、1965年に書かれたこの小説だったのだろう。ダダイスト辻潤アナーキスト大杉栄という怪物二人と結婚し、7人の子供を産み、「青鞜」を平塚らいてうから引き継ぎ廃刊に追い込み、28歳で虐殺された生涯だった。

栗原康『村に火をつけ、白痴になれ』は同じ岩波から、「美は乱調」の前年に出版されている。栗原さんのはっちゃけた文体ながらしっかりした野枝伝に比べると、もちろんこちらは小説だから当然かもしれないが、革命家たちの思想・活動ということより、彼らの情愛やスキャンダルがねっとり描かれている。「この小説を書いて、「青春は恋と革命だ」という考えが私の内にしっかりと根を下した」という寂聴さんが、私はちょっと苦手だ。私も女だけどこんなにねっとりしてないと思ってしまいます。

大杉栄との間の5人の子供の名前は、魔子、マヤ、マヤ(同じ名前が二人!笑)、ルイズ、ネストルで、ネストルだけが男子。両親が殺されたのが最初の子の魔子がかぞえで7歳の時だから、子供たちはあまり記憶もないようですが、両親のことで苦労はしたようですね。全員その後改名または漢字を直しています。寂聴さんは、魔子さん、ルイズさんはじめ野枝の親戚にあって話しているのですが、その部分は大変おもしろいです。
読了日:02月26日 著者:瀬戸内 寂聴