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rocorinne bookworm

INPUTして、OUTPUT。

12月に読んだ本のまとめ 『教団X』

ずいぶんご無沙汰してしまいました。12月に読んだ本のまとめです。

 

今月の1冊は、中村文則さんの『教団X』です。いろんなテーマがあって、圧倒されました。純文学の騎手、中村文則さんを読んだのは『銃』以来2冊目です。ほかの本も読んでみたい、楽しみです。

 

その他に、ピーターラビットの本をラストスパートをかけて読み終わりました!

 

教団X

教団X

 

なんだか凄い本だった!最先端の量子物理学と最古の宗教を結び付けて語る老教祖の松尾。時々挿入される松尾の思想・主張、高原の手記、篠崎が言わされたことなどと、若い男女が登場する緊迫したストーリーで、分厚い単行本をぐっと読まされた。第二次大戦の戦争責任東京裁判サリン事件を起こしたカルト集団、9.11やテロリズム、先進国や巨大企業のアフリカ・アジアの国々に対する搾取の構造などテーマが広くて圧倒された。一方、立花以外の女性が没個性的なのとセックスが洗脳の手段というのは、話を単純にするためかな?

「特攻隊の人達……彼らの魂の純粋さを、あの戦争が正しかったような印象操作に利用するのは死者に対して失礼だろ?あの魂をそのように利用しかつ金儲けの手段にしてるやつまでいる始末だ(篠崎)」……というのは映画化もされたベストセラーへの面当てか。「あの戦死者たちを英雄としてではなく犠牲者として心から追悼することです」「我々は、平和平和と連呼する、戦争を望む国々から煙たがられる存在になるべきです」「日本は平和追及国家になるべきだ」という松尾の主張は私の気持ちにも一番近いものだ。

読了日:12月18日 著者:中村 文則

 

 

12月の読書メーター
読んだ本の数:26
読んだページ数:4162
ナイス数:1808

 

 

トウェインの時代のコネチカット州の男が、アーサー王時代のイギリスへタイムスリップする。主人公がアーサー王時代の封建的身分制度に反発して、差別のない社会を作ろうと、近代の技術を密かに普及させて奮闘する。1300年も隔たっていれば話は嚙み合わず、おもしろい。暗澹たる思いがするのは、格差や差別の問題が現代でも依然としてあるし、投票の結果を「教養のない人間が多く票を投じた」と論じられるようでは、民主主義でも解決できないのだ、と思わされるところだ。

マーク・トウェインイベント】で読みました。ガーディアンの82冊目。

読了日:12月06日 著者:マーク・トウェイン

 

Tale Of Pigling Brand,The (BP 1-23)

Tale Of Pigling Brand,The (BP 1-23)

 

Publisher’s Noteより。1913年9月に出版時、「遅くなってしまい申し訳なく、夏中気がかりでした」とポター。まず話を作り、次に編集者と協議しながらの校正作業に、何か月もかかった。 「豚小屋の中で、一時間濡れながら豚をスケッチしました。豚は私のブーツをかじろうとするのでいらいらしました。」と、ポターは元婚約者の姉妹ミリー・ウォーンへの手紙に記す。ポターが、自分の絵に自然なリアリズムを求めようと努力している様子がわかる、すてきな裏話だ。

ピーターラビットイベント】で読みました。

読了日:12月08日 著者:Beatrix Potter

 

8匹生まれた子豚は7匹まで外に出されることに。ピグリン・ブランドは兄弟のアレクサンダーと、童謡のように市へ行くことに。自分で自分を売りに行くっていうね……。兄弟とはぐれ農夫に捕まえられ、かわいいぶたの女の子と出会い一緒に逃げます。この年の10月にポターは再婚していますね。「この作品はポターには珍しく男女の愛が描かれた作品となっており、ポターは友人への手紙でこの作品のモデルは私たちではないと、わざわざ断りを入れている。しかしながら多くのものはこの作品をポターの幸せな日々と重ねて見ている」ウィキより

ピーターラビットイベント】追い込み中(^-^;

読了日:12月08日 著者:ビアトリクス・ポター

 

葉っぱのフレディ―いのちの旅

葉っぱのフレディ―いのちの旅

 

生きる喜びと、生きた証、そして死は誰にも訪れ、命はめぐることを、春に生まれ冬には死んでしまう葉っぱのフレディの気持ちを通して子供たちに伝える、そういう意図で描かれた絵本です。原文を読んだ後でも、みらいななさんの訳はいいな、より物語らしくフレディの気持ちを読むことが出来ると思いました。

読了日:12月10日 著者:レオ バスカーリア

 

The Fall of Freddie the Leaf: A Story of Life for All Ages

The Fall of Freddie the Leaf: A Story of Life for All Ages

 

『葉っぱのフレディ』を読んでから、これは原文も読まなきゃ!という気になりました。原文の方がもっとメッセージ性が強く、みらいななさんの訳は、お話としてのおもしろさが勝っている感じがしました。

読了日:12月10日 著者:Leo F. Buscaglia

 

ノラや (中公文庫)

ノラや (中公文庫)

 

ノラが失踪して手を尽くして探すも見つからず、号泣する百閒先生(67歳位)。風呂にも入らず一人ではご飯も食べられず、思い出しては泣き夢に見ては泣く。新聞広告やチラシを配ること数年。「ノラの電話」がかかると、確認しに行くのは奥さん(二つ下)で、一日に3,4件と回り落胆して戻るのは大変だっただろうな~と思う。先生は家で泣いている一方だ。ノラにそっくりだけどしっぽの短い猫が家に出入りするようになり、クルツと名付けられる。先生のご飯と奥さんの猫探しのお供を務めた弟子の平山三郎が、ノラとクルに関する短編を集めものだ。

百閒先生の泣き虫ぶりはもはや笑っていいレベル?と思いながら読んだが、平山三郎の解説でちょっとびっくりでした。「じつははじめ先生の奥さんから電話があって、さびしがって泣いてばかりいる―と聞いたときわたしは、まさかと思った。あの気むずかしい、謹厳な大先生が、猫がどこかへ行って戻らないだけのことでおろおろする筈がない、まして涙を流して猫の名を呼びつづけているなどとは想像することもできない」

読了日:12月12日 著者:内田 百けん

 

星の王子さま (新潮文庫)

星の王子さま (新潮文庫)

 

これは中学生のころとても夢中になった本で、なぜか読み返してはいけないような気がしていました。今回読書会の課題本になったのでそっと読んでみました。ゾウを飲み込んだボアの絵とか、次々と王子さまを失望させる大人たちになってないかとか、そんなことが心配だったのかしらと思います。とても繊細な壊れやすい美しさを持つ本ですが、キツネが教えてくれる「いちばんたいせつなことは、目に見えない」というメッセージはわかりやすく、王子さまの笑い声の響く星空を私ももらいました。

【ガーディアンの1000冊、既読】

読了日:12月13日 著者:サン=テグジュペリ

 

くじらぐもからチックタックまで

くじらぐもからチックタックまで

 

中川李枝子さんの「くじらぐも」が読みたくて元の本を探したら教科書のための書き下ろしでした。この本は1、2年生の教科書に載ったお話を作者の談話や採用頻度などを丁寧に調べて、よい作品を集めたものです。岩崎京子、松谷みよ子、君島久子、神沢利子あまんきみこ……と素晴らしい作家の名前が並びます。こんなお話ばかり載った教科書だったらどんなに素敵でしょう!本当の教科書は説明文や作文の書き方やらも入ってそれほど楽しくないのではと思うのですが。

昭和40年~平成16年の間で、採用頻度NO.1は「おおきなかぶ」A.トルストイのロシア民話の再話です。文豪トルストイも民話の再話を書いていますが、別人だそうです。NO.2は日本民話の再話、岩崎京子『かさこじぞう』。NO.3は松谷みよ子『ハナイッパイになあれ』、NO.4はアーノルド・ローベル『おてがみ』です。翻訳ものがふたつはいりましたが、全体としてはとても少なく、他にはレオ=レオニ『スイミー』(谷川俊太郎訳)くらいです。

小5,6年生の教科書の作品に寄せられたリクエストの本が5冊掲載され、宮沢賢治や『最後の授業』などがありましたが、安房直子『きつねの窓』がとても素敵でした。紹介された本は、全文が掲載されています。

読了日:12月14日

 

ねこまつりの しょうたいじょう

ねこまつりの しょうたいじょう

 

夏休みも終わるころ、アイスキャンディの当たり棒には虫眼鏡で見なければわからないほど小さな文字が刻まれていた。耕太はねこたちと協力しながらねこまつりに必要なものを集める使命を与えられる。『どんぐりと山猫』を思わせるワクワクする書き出しだ。展開はちょっと平凡な気もするが最後にはいい贈り物をもらいましたね。

読了日:12月14日 著者:いとう みく

 

おばあちゃんと バスにのって

おばあちゃんと バスにのって

 

読み語りしてもらいました。日曜日、教会の後はいつもおばあちゃんとバスに乗る。なぜうちは車がないの?iPodがほしいな。こんな汚い街に来るのは嫌だな。車よりバスの方が楽しいわ。目の前にいる人にギターを弾いてもらった方が楽しいわ。バスで着いたところはスープ・キッチン。そこではボランティアの人たちも、食事をもらいに来る人たちも友達だ。素敵なおばあちゃんの話に社会問題も含めた作品で、今年のニューベリー賞受賞、コールデコット賞オナーブック。一つの本が児童文学と絵本の両方で対象になるのは珍しいのではと思います。

読了日:12月16日 著者:マット デ・ラ・ペーニャ

 

だって…

だって…

 

読み語りしてもらいました。お母さんが何か言うと、子供は「だって……」。それだけで後は下谷二助さんの絵が説明してくれます。ページをめくるごとに笑い声が上がり、読み語りの楽しさが味わえる本ですね。

読了日:12月16日 著者:石津 ちひろ

 

海の見える理髪店

海の見える理髪店

 

【2016年上半期直木賞受賞作】短編集で、どれも家族をテーマにしたものだ。愛情あふれる家族でなくてどこか壊れた家族。それを時を経て見つめなおすような、そしてちょっとほのぼのするような作品たちだ。表題作は髪の毛一本落ちていてはいけないきれいな理髪店のように整った話だ。私は子供が主人公の『空は今日もスカイ』がよかった。先日子供の友人が16歳で亡くなった。その悲しみにまだ胸をふさがれていて『成人式』に共感することはできなかった。

読了日:12月21日 著者:荻原 浩

 

タイムマシン (岩波少年文庫)

タイムマシン (岩波少年文庫)

 

『タイムマシン』で着いた先は西暦80万2701年!19世紀に書かれ、SFタイムトラベル、タイムマシンの発想の源となったこの作品。80万年て遠い未来だなと思うものの、19世紀も現在も80万年後も「格差」は変わらず問題なのだ、と予言されたようだ。金原訳はとっても読みやすい。というか、ちょっと子供向けだ。

【ガーディアンの1000冊】12月イベントで読みました。83冊目

読了日:12月23日 著者:H.G. ウェルズ

 

タイムマシン (光文社古典新訳文庫)

タイムマシン (光文社古典新訳文庫)

 

巽孝之さんの解説がよかった!岩波少年文庫金原瑞人訳と原文と比べながら読んだ。原文は結構難しい単語を使っているので、池央耿さんの訳の方が雰囲気を伝えているのだろう。“You think. You can explain that. It’s presentation below the threshold, you know, diluted presentation.” 「どうかな。君なら説明できるだろう。心理学で言う、識閾下の表象、希釈された心象についてだけれども(池訳)」「みんなに説明してあげてくれないか。高速で動く物は、人の目にみえない。そうだろう(金原訳)」(金原訳はその後の説明も含んだわかりやすい意訳だ)。

感動的なラストはこんなふうです。 And I have by me, for my comfort, two strange white flowers – shrivelled now, and brown and flat and brittle - to witness that even when mind and strength had gone, gratitude and a mutual tenderness still lived on in the heart of man.「幸いにして、手元に名も知らぬ白い花が二つある。今はもう、すっかり茶色に干涸らびて手を触れれば脆くも粉々に崩れるであろうありさまだが、これこそは人類の知性が退化し、肉体が衰えて後までも、恩愛の情と相見互いの友愛が人の心に生き続ける証である(池訳)」「希望、それは不思議な二本の白い花だ。もう枯れて、ひからびて、茶色くなって、形もくずれてきた。しかしこの花は、体力も知力もなくなってしまった時代でさえ、人間の心にはたがいを思いやるやさしさが残っているという証拠なのだ(金原訳)」

 読了日:12月23日 著者:ハーバート・ジョージ ウェルズ

 

Appley Dapply's Nursery Rhymes (BP 1-23)

Appley Dapply's Nursery Rhymes (BP 1-23)

 

Publisher’s Noteより。この本は古い歴史を持つ。ポターが靴の中のおばあさんの絵を描き始めたのは1893年と早い。亡き婚約者のウォーンが編集者をしていた時出版が検討されていた。プロジェクトは1917年に復活した。ウォーン社は新しい本を書くように要請していたが、ポターは農場の仕事が忙しく、代わりにアプリイ・ダプリイはどうかと提案した。「昔の絵は、今描くものよりいいです。残念ながら視力が悪くなっているので」結果、初期と中期のイラストが入り混じった魅力的な掌編となった。

読了日:12月23日 著者:Beatrix Potter

 

ビアトリクス・ポターのナーサリー・ライムで、初期・中期の絵を集めて後期に出版されたものだという。ほりべえさんのモグラや、てんじくねずみ(ギニア・ピッグ)も他では描かれていないらしい。元ネタがどれだけあるのかよくわからないが、おくつにすんでいるおばあさんの有名な詩も、靴に住んでいたなら、きっとはつかねずみね!と楽しいポター流だ。

読了日:12月23日 著者:ビアトリクス・ポター

 

Tale Of Johnny Town Mouse,The (BP 1-23)

Tale Of Johnny Town Mouse,The (BP 1-23)

 

Publisher's Noteより。このお話は1918年戦時下に出版された。この時期、ウォーン社を含め多くの会社は物不足と財政困難に陥っていた。アプリイ・ダプリイの後、ウォーン社はもう一つちゃんとしたお話のポターの本で財政を立て直したかった。彼女はイソップ寓話の再話でこれに応じた。でも、農場経営の責任もあるポターにとっては、この本の製作の過程はひどく慌ただしいものとなった。

ジョニーのディナーパーティのテーブルの上にどんと落ちたチミーに、ジョニーが "Who in the world is this?"といった後、すぐにマナーを取り戻す、とあるので、先の言葉はちょっと悪態に近いのかと思うけど、それでもとても上品だ。今なら in the world はあまり聞かないけれど the hell ならしょっちゅう聞く。(って、くだらないドラマの見過ぎか……^^;)

読了日:12月24日 著者:Beatrix Potter

 

まちねずみジョニーのおはなし (ピーターラビットの絵本 9)

まちねずみジョニーのおはなし (ピーターラビットの絵本 9)

 

表紙のジョニーは、いなかを訪問した時に自慢のしっぽがどろで汚れないように持ち上げているところだ。田舎ねずみのチミーが野菜かごに紛れて都会についてしまったとき、コックに追われてねずみ穴に飛び込むとそこはジョニーのパーティのテーブルの真ん中。びっくりがおさまると礼儀正しく闖入者をもてなすジョニー。でもチミーは都会に慣れることができない。そしてポターも「チミーとおなじようにいなかにすむほうがすきです」とくくる。

読了日:12月25日 著者:ビアトリクス・ポター

 

なんでそうなるの?―中国の若者は日本のここが理解できない (中国人の日本語作文コンクール受賞作品集)

なんでそうなるの?―中国の若者は日本のここが理解できない (中国人の日本語作文コンクール受賞作品集)

 

中国で日本語を学ぶ学生さんたちの日本語作文コンクールの受賞作集。生の若者の声が聞ける。南京大虐殺の国辱を忘れるなと言われて育ち、日本語を専攻すると決めて周囲から猛反対を受ける人も多い。それでも現代日本のことはアニメやドラマで知り、好意を持ってくれた人も多く、日本人にも現代中国のことを知ってほしい、中国の本で読まれているのは古典ばかりだ、という人も。日中共世論調査の結果から、中国人によくない印象を持つ日本人が9割もあるのを気にしている人も多い。

日本語専攻の学生さんたちだから、自分が懸け橋になる!という決意をもっていてくれるのがとてもうれしい。気になるのは、日本人と接する機会が少ないせいで、自分が出会った個々の日本人からの印象を強く受けていることだ。良い話が多く書かれているが、逆の経験もあるだろうと思われる。今後の日中関係は、マスコミに煽られない草の根交流が大事よね!と思い、しかしながら朝日新聞beの記事でこの本を編集している段躍中さんのことを知り手にした本だ。この作文コンクールの出版は今年で12年も続けられている。

読了日:12月25日 

 

Cecily Parsley's Nursery Rhymes (BP 1-23)

Cecily Parsley's Nursery Rhymes (BP 1-23)

 

Publisher's Noteより。セシリ・パセリは、アプリ・ダプリに続くポター2冊目のナーサリーライム。でもアプリ・ダプリと違って、ポターオリジナルの詩の部分は減って、伝統的なrhyme に絵をつけたものだ。初期に書かれた本に共通したことだが、絵は画家のキャリアのいろんな年代から取られたものが混在している。出版社は最初は他のお話の本ををもう一冊と望んだが、セシリ・パセリを受け取ると、このナーサリーライムを1922年のクリスマス用に出版することを決めた。

読了日:12月30日 著者:Beatrix Potter

 

原書のほうで、オリジナルの詩はないようなことが書いてありましたが、冒頭のセシリ・パセリはビアトリクス・ポターのオリジナルなのではと思います(自信なし)。小屋に住んでいてジェントルマンのためにエールを作っているうさぎのセシリ・パセリ。白いエプロンから大きな鉢に麦を入れている絵がとてもかわいいです。

読了日:12月30日 著者:ビアトリクス・ポター

 

Tale Of Little Pig Robinson,The (BP 1-23)

Tale Of Little Pig Robinson,The (BP 1-23)

 

Publisher's Noteより。これはシリーズ最後のお話。でも書かれはじめたのは本が出版された1930年の50年前からだ。出版されたころ、ポターはイギリスのウォーン社と同様に、アメリカのデヴィッド・マッケイ社との絆が強くなっていた。この本は2つの会社のために違うバージョンで用意された。マッケイ社のほうはたくさんの白黒の絵が使われ、ウォーン社は白黒の絵を採用しなかった。その後イギリス版も、ポターの全集を出したときに絵を加えて完全な形にした。

読了日:12月30日 著者:Beatrix Potter

 

こぶたのロビンソンのおはなし (ピーターラビットの絵本 24)

こぶたのロビンソンのおはなし (ピーターラビットの絵本 24)

 

ポターの文章力について、ユリー・シュルヴィッツが太鼓判を押しているのを読んで、そうなの?と思っていましたが、これはたいした長編でおもしろかったです。ニシン漁の船たちが帰港し賑わう港町。ねこのスーザンや犬のスタンピイがその雰囲気を伝えます。一方、まだ小さいのにお使いを頼まれて町へやってくるこぶたのロビンソン。物を売ったり買ったりするのはむずかしいのですが、たくさんの人や動物が助けてくれます。ところが、船のコックにだまされて船に乗せられてしまいます。船上で甘やかされて太っていくロビンソン、危うし!

船が出港してしまったことを知り、叫びまわった挙句、"Poor Pig Robinson Crusoe!"と歌うロビンソンに、船員とともに爆笑です。最後は幸せなロビンソン・クルーソーになりましたね。

読了日:12月30日 著者:ビアトリクス・ポター

 

ずるいねこのおはなし (ピーターラビットの絵本 20)

ずるいねこのおはなし (ピーターラビットの絵本 20)

 

これが福音館のピーターラビット絵本シリーズの24冊目、最後の本です。ウォーン社のセットに入っていないのは、この本の絵の完成度の低さでしょう。元は友人の娘へのプレゼントに書かれたお話を、描き直して「わるいうさぎ」「モペットちゃん」に続く蛇腹本として出版される予定だったものが、蛇腹本の評判が悪く中止になり、その後他の二冊が普通の本として出版されたときは、もう視力が悪くなっていたポターに描き直す気がなくなっていました。この本に使われている絵は、プレゼントのためのオリジナルスケッチのままです。おもしろいお話です。

読了日:12月30日 著者:ビアトリクス・ポター

 

Beatrix Potter the Complete Tales

Beatrix Potter the Complete Tales

 

この本は家の近くの図書館にあり、持って帰るには重すぎるので、ちょこちょこ読んでいました。ピーターラビットの他の小さい本同様、開いたところにthis book belongs to :と名前を書き込むところがあり、全体の物語の前に一枚の絵。これは『グロースターの仕たて屋』から、ドレスを着て鏡を見ているねずみの絵が選ばれています。「のこるは、ねずみのケープに ぼうしのリボン。どれもこれも、ねずみ用」のところの絵です。

ウォーン社のピーターラビットシリーズ、23のお話の他に4編がOther worksとして掲載されていて、Three little mice、The sly old cat、The fox and the stork、The rabbits' Christmas partyの短いお話たちです。【ピーターラビットの生みの親「ビアトリクス・ポター」生誕150周年記念読書会】のおかげで、今年はビアトリクス・ポターの世界をゆっくり楽しめました。

読了日:12月30日 著者:Beatrix Potter
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