映画「キャロル」を観てきました。
「キャロル 」アカデミー賞では、6部門ノミネートでしたが、残念、無冠に終わりました。主なところでは、ケイト・ブランシェットが主演女優賞、ルーニー・マーラが助演女優賞に、そして、脚色賞(原作はパトリシア・ハイスミス)にノミネートしていました。
原作本はこれです。
- 作者: パトリシアハイスミス,Patricia Highsmith,柿沼瑛子
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2015/12/08
- メディア: 文庫
- この商品を含むブログ (20件) を見る
この本が、私の4月の読書会の課題本になったので、ぜひ原作を読んでから映画を観に行きたかったのですが、もうロードショーが終わってしまう~~、ということで、先に映画を観に行きました。
これが二人の最初の出会いのシーンです。1950年代ニューヨーク。クリスマスの買い物客で混みあうおもちゃ売り場。サンタの帽子をかぶった売り子のテレーズは、美しい客から目が離せません。
キャロルの方も、視線を感じてテレーズのところへ来て、買い物の相談をします。あなたはどんなお人形が好きだった?あなたが子供ならどんなプレゼントがほしい?
二人の恋の始まりです。
以下、どうしてもネタバレになってしまうと思います。ご注意ください。
キャロルは裕福な暮らしの主婦で、夫との間に一人娘もいる。
テレーズは若く、恋人もいて、カメラで仕事がしたいと思っている。
ただ、どうしようもなくひかれあっていく二人……。
キャロルの旦那さん、ハージ(カイル・チャンドラー)。
キャロルを取り戻すために、子供を盾にとってあらゆる嫌がらせをしてきます。
でも、この人の気持ちもわかるなー。せっかくこの美しい人と結婚したのに、奥様はレズビアンって、フレンズのロスと同じ状況ですね。
90年代のロスはあっさり捨てられて、奥さんはパートナーの女性と暮らしていました。
キャロルが頼りにしている女友達。キャロルは彼女とも訳ありでした。
なんだか見たことある女優さんだな~、しかもなんだか不吉な感じがする……笑
と思ったら、「アメリカン・ホラー・ストーリー」にずっと出ている、サラ・ポールソンでした。
ケイト・ブランシェットは、ちょっと怖いくらいきれい。
ルーニー・マーラは、初々しい感じで。
しぐさや表情が語るものが多い、圧倒的な愛の映画でした。
原作は、パトリシア・ハイスミスのほとんど最初の長編です。彼女が恋人と結婚するために、レズビアンを直す?セラピーを受けることになり、その費用を捻出するためにブルーミングデール百貨店のおもちゃ売り場で働いているときに、この物語の着想を得たといいます。
レズビアン作家と思われたくない、と考えたパトリシア・ハイスミスは別名で小説を出版しますが、レズビアン小説としては前代未聞のハッピーエンド、ということで話題になり、ベストセラーになったそうです。
映画以降、小説の題名も「Carol」になっていますが、
- 作者: Patricia Highsmith
- 出版社/メーカー: Bloomsbury Publishing PLC
- 発売日: 2010/06/07
- メディア: ペーパーバック
- クリック: 3回
- この商品を含むブログを見る
もともとは、「The Price of Salt」でした。
「塩の値段」ですが、この塩は、旧約聖書で、ソドムとゴモラの滅亡のときに、決して後ろを振り返ってはいけないと言われたのに、ロトの妻が振り返ったため塩の柱になったという逸話から来ていて、後ろを振り返ることは、宗教的タブーをおかすことを表すといいます。
禁忌を犯すことの代償……ということを暗喩しているのでしょうか。
このタブーさ加減は、宗教の強い国では、一段と厳しいのでしょうね。