rocorinne bookworm

INPUTして、OUTPUT。

8月に読んだ本のまとめ

読書メーターは、スーパー優良SNSと思っているのですが、今年の6月にシンガポール在住の美しいYuriLさんが開設したコミュニティがとても盛り上がっています。

bookmeter.com

 毎月、カテゴリーを決めて数冊の推薦本を出してくれるイベントも開催してくださるのですが、自分では思いつかなかったような本を読めるのがとても楽しみです。

今月の一冊はそのイベント、カテゴリーは「Crime」で紹介された、この本です。

時の娘 (ハヤカワ・ミステリ文庫 51-1)

時の娘 (ハヤカワ・ミステリ文庫 51-1)

 

おもしろかったー!本についた系図を何度も見返していたら、文庫本が壊れました(笑)。途中でちゃんと把握したくなり、ウィキペディアから系図をプリントアウトすること3枚。最初から読み直しました。ベッド上探偵のグラント警部と、アメリカ人学者のキャラダインと謎に取り組む過程がおもしろかったです。ベッドサイドに訪れるイギリス人たちのリチャード3世観も。真実は時の娘、現代の教科書にはどう書かれているのでしょうか。 

本筋とは関係ないものの、看護婦のアマゾンが「実際には彼女(二人の王子の姉のエリザベス)は彼の後継者(ヘンリー7世)と結婚したわ。エリザベス1世のおばあ様ね。エリザベス1世にかすかながらプランタジネットの血が流れているっていうのが、私、いつもうれしかったの」と言ったのが印象的でした。イギリスの王朝は断絶したり海外から戻ったり複雑ですね。名前の種類も少ないし(泣)。 【ガーディアン・イベント】59冊目/1000冊

教科書を大切にとっておいているアマゾンですが、教科書に、自分の名前と住所を書き込んで、うつし絵でぐるりと飾った少女、お気に入りの文章の小文字のoに、鉛筆できれいな影を付けていた少女は、テイ自身だったように思うのです。

読了日:8月25日 著者:ジョセフィン・テイ

 

 

2015年8月の読書メーター
読んだ本の数:16冊
読んだページ数:4444ページ
ナイス数:1071ナイス

 

時の旅人クレア〈2〉―アウトランダー〈2〉 (ヴィレッジブックス)

時の旅人クレア〈2〉―アウトランダー〈2〉 (ヴィレッジブックス)

 

前巻のラストで、タイムスリップした200年前のスコットランドハイランド地方にて、逃げ場のない政略結婚をすることになったクレア。今回は新婚カップルのラブラブ波瀾万丈編でした。23歳筋骨隆々童貞花婿の美しさが繰り返し描かれているところが、ロマンス小説ならではの楽しみですね。

読了日:8月1日 著者:ダイアナガバルドン

 

 

失われた時を求めて(1)――スワン家のほうへI (岩波文庫)

失われた時を求めて(1)――スワン家のほうへI (岩波文庫)

 

【イベント参加中♪】最初の1巻を読み終わりました!岩波・集英社・光文社の3冊を並べて冒頭を読み比べましたが、岩波が一番読みやすいように思われました。訳注が同じページにあるのと、漢字を控えめにしてある所がいいですね。思っていたより楽しんで読めたのですが、この1巻に全編にわたる伏線がかなり含まれている、と訳者あとがきにあり、後で出てきても覚えていられるかちょっと不安です。図書館で借りていますが、やはり買うべきかしら!?

「人生においてメロドラマの美学に根拠を与えてくれるのは、サディスムぐらいしかない(P352)」なんて文章があり、この繊細でロマンティックなものを求める少年が、変態だったらやだなー(大谷崎読んだばかり)とちょっと恐れています。「私が人生と言うのは、われわれが並行して送っているさまざまな人生のなかで、もっとも波瀾万丈で、もっともエピソードにあふれた人生、つまり知的人生のことである(P390)」なんてくだりを読むと、私の知的人生、ちゃんと並行して送られてるかしら?とドッキリいたします。

読了日:8月6日 著者:プルースト

 

 

([と]1-2)あん (ポプラ文庫)

([と]1-2)あん (ポプラ文庫)

 

どら焼きのどら春。日がな一日鉄板に向かう千太郎。ふと思う、どら焼きの店ってあまり見たことないな。鯛焼きや今川焼みたいな焼き型のあるお店は多いけど。千太郎が毎日いい加減に焼いているどら焼きの店に、時給200円でいいわ、とおばあさんがやってくる。あん作りの名人だ。桜の花びらとともにおとぎ話のように始まる話が、孤独な3人を結び付け、ハンセン病の過酷な歴史と「生きる」ことの意味を問いかける。軽い気持ちで読み始めたのにずしりと重く、あん・さくら・14歳と要素も美しく、いい読後感でした。

読了日:8月8日 著者:ドリアン助川

 

 

佐野洋子〈追悼総特集〉100万回だってよみがえる (文藝別冊)

佐野洋子〈追悼総特集〉100万回だってよみがえる (文藝別冊)

 

神奈川近代文学館佐野洋子展を観に行くため、佐野洋子予習中。この追悼特集号の目玉はex husbandの谷川俊太郎さんと、最初の夫の子広瀬弦さんの対談だ。他に各氏の追悼文、本に未所収の対談やエッセイなど。西原理恵子さんがおもしろかったお話として、今の男と次の男の間がかぶってしまうことを「のりしろといって数に数えなくてもよくってよ」と佐野洋子が言った、と書いているが、後の対談でそれは元々は山田詠美の発言であったことがわかる。『100万回生きたねこ』の1冊だけでも、永遠に名前の消えない人だ。

読了日:8月9日 

 

 

谷川俊太郎との対談はまだ結婚しているときのものだが、佐野洋子の辛辣な批評家ぶりは度を越している。「(谷川の本を)すごく感心はするけれども、感動はしませんね」「『わたし』っていう絵本がありますよね。・・・日本の絵本史上に残る非常に立派な良い作品、だそうですけれど・・・「わたし」っていうものがいないっていうのが私はすごく嫌な感じだったのね。」おおむね言いたい放題の対談で、聞き上手なのはさんまと阿川佐和子さん(やはり)。おもしろいのはおすぎ。とても気が合うようだ。

読了日:8月9日 著者:佐野洋子

 

 

シズコさん (新潮文庫)

シズコさん (新潮文庫)

 

母に愛されなかった、虐待された、障害のある親族にも情のない母であった。と愚痴る。いつも身ぎれいにしていて家事能力が高く、夫に先立たれた後女手ひとつで子供を全員大学に入れた、母のおかげで料理も手仕事もできるようになったと自慢する。痴呆が始まって施設に入れてから「母を金で捨てた」と言いつつ、自分たち一家の過去を振り返る。すっかり呆けた母と和解できた気分でいるのはどうかと思うが、作者の余命も宣告されている頃なのでそんな心境にもなるのかと。

幼くして亡くなった3人の兄弟。母が呆けた後、その兄弟を知るのはもはや自分しかいないという思いがとても切ない。

読了日:8月10日 著者:佐野洋子

 

 

香水―ある人殺しの物語 (文春文庫)

香水―ある人殺しの物語 (文春文庫)

 

異常なほどの嗅覚を持ち、匂いにのみ欲望を持つ男の生れ落ちてからの一生を描く。皮なめし職人、香水調合師、致死薬研究の侯爵と3人の下で修業し、その間死病にかかり、復活し、師に富をもたらしながら、その元を去るとその師は死んでしまうという、同じパターンを3回繰り返す昔話の常套パターンなのは、計算ずくの構成か?匂いの変態として完成していく男だが、成長していろんな世界を知ってほしいと思いながら読んでしまったのは、お母さん的見方なのかな(笑)。それでは名作にならないのだろうけど。 

【ガーディアン・イベント】1000冊の58冊目。冒頭、匂いの話だけに、パリは飛びぬけて強烈な悪臭の町……と不潔な様子が描かれる。ドイツ人にこう書かれてフランス人はどう思うのかな?

読了日:8月14日 著者:パトリックジュースキント

 

 

時の旅人クレア〈3〉―アウトランダー(3) (ヴィレッジブックス)

時の旅人クレア〈3〉―アウトランダー(3) (ヴィレッジブックス)

 

ラブラブ編の前回から、今回の後半はずいぶん痛い目に合う場面が多く、読むのが辛いところも。(2巻が品切れしているのもうなずけます❤) 愛する(新しくて若い方の)夫と共に18世紀で生きていく決心をしたクレアは、どんどんたくましくなっていくのでした。ボディスを付けた服で、オオカミと戦えますか!?

読了日:8月19日 著者:ダイアナガバルドン

 

 

佐野洋子対談集 人生のきほん

佐野洋子対談集 人生のきほん

 

佐野と西原(2007)、佐野とリリー(2009)の対談で、鼎談ではないが3人とも武蔵美の出身だ。西原との対談は、西原の話が迫力があって、佐野は肯定的な聞き役に回っている感があり。リリーとの対談は、母と子の関係について、家族についてを語り合っておもしろい。佐野は「あなたみたいに、お母さんと情で強くつながっているのが、ものすごく羨ましい」と。佐野の体調を考慮して2回に分けて行われるはずだった後半はついに実現しなかった。3人の写真と挿絵も楽しい。 

西原理恵子の挿絵で、西原とリリーの二人の絵に「同じ武蔵美、描けない絵でどうにかやってしまう組」とコメントがつけられている。佐野さんの武蔵美の同級生も、佐野さんはデッサンはうまくなかったと言ってたな……。

読了日:8月20日 著者:佐野洋子,西原理恵子,リリー・フランキー

 

 

Little Blue and Little Yellow

Little Blue and Little Yellow

 

谷川俊太郎佐野洋子対談で、二人が好きな絵本にあげたこの本。レオ・レオニの翻訳を多く手掛ける谷川俊太郎だが、この本の翻訳はしていない。また、これはレオ・レオニの処女作だが、作家は処女作を褒められるのを嫌がるんだよね、とも。 Happily they hugged each other... and hugged each other... until they were green かわいいです。

読了日:8月20日 著者:LeoLionni

 

 

村上海賊の娘 上巻

村上海賊の娘 上巻

 

図書館本の予約が回ってきて今頃読んでいます(笑)。大坂本願寺の籠城という戦国時代の一コマにスポットを当て、キャラのたった登場人物たちでおもしろく読めてしまいます。人物・地理の説明も丁寧で的確。予備知識がなくても時代に引き込まれます。下巻へ急げ~!

読了日:8月26日 著者:和田竜

 

 

おじさんのかさ (講談社の創作絵本)

おじさんのかさ (講談社の創作絵本)

 

佐野洋子さんデビュー作。 かさを溺愛しているおじさん。そういえば、イギリスには昔、かさをキリッと巻き上げることを生業にしている人がいた、と聞いたように思います。

読了日:8月27日 著者:佐野洋子

 

 

さかな1ぴき なまのまま

さかな1ぴき なまのまま

 

佐野洋子展で、気になったタイトルです。読み聞かせをよくする友人が、大好きな本だけど、クラスで読み聞かせするにはちょっと長いのよね、と言っていました。なまのままの魚はかわいい友情の証です。

読了日:8月27日 著者:佐野洋子

 

 

村上海賊の娘 下巻

村上海賊の娘 下巻

 

戦場を目の当たりにして心の弱さを指摘され、しょんぼりと能島へ戻った景姫が、一転単身難波海へ戻っていく。「鬼手が出るか」とつぶやく父。「鬼手」は海戦の禁じ手。「心幼きゆえ、男は奮い立つんじゃないか」 上巻の戦では真鍋七五三兵衛を応援していた読者も、下巻の海戦では両サイドに情を感じているはず。優劣がころころ変わり、ハラハラドキドキ、本を置くことが難しかったです、長いのに。優れたエンターテイメントだと思います。

宗教に武器を取らせると酷い犠牲を簡単に強いることができる、それにきっちり異を唱えているところも見事です。本屋大賞はひそかに侮っているのですが(^^;)、『のぼうの城』(未読)で直木賞候補になったのに、本作では候補になりませんでしたね。キャラを立たせるあまり、景や七五三兵衛がちょっと超人になりすぎてしまったかも。歴史の検証もきちんと書き込んでいるので、この長さになったようですね。

読了日:8月28日 著者:和田竜

 

 

せんそうしない

せんそうしない

 

 2015年7月初版。この時期、反戦のメッセージを打ち出したい谷川さんの気持ちはよくわかる。海に泳ぎに行く二人の子どもの絵は一枚一枚まぶしく輝いている。帰途につく子供たちの走る街並みが一変爆撃を受けた後の姿になっている。表紙は二人が真顔で直立しているところだ。メッセージはストレートだが、それでもインパクトに欠けると思ってしまう私。

読了日:8月28日 著者:谷川俊太郎,江頭路子